【完】梅 と 松【梅原裕一郎】

伝わってる ページ21

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最近寝不足が続いている。理由はその通り。うめが寝かせてくれないのだ。そのおかげで昼は常に眠たい。
居眠りラジオのゲストで来てくれているこうちゃんとうめと喋っていてもウトウトしてしまう。


「A眠そうだね」
「俺が寝かせないからね」
「さすが新婚さんは違うね〜」
『もうやめてよそういうこと言うの』
「始まるまで時間あるしちょっと寝といたら？起こしてあげるよ〜」
『そうしようかな…ありがとう…』

幸い私はどこでも眠れる人なので、テーブルに突っ伏す感じで眠った。

夢なのか現実なのか分からないふわふわした感じ。
ただ2人の声が聞こえるのは確かだ。

「A、最近柔らかくなったよね。梅ちゃんと付き合いだしてから結婚して、こんなにも変わったんだね」
「付き合う前はなんかもどかしかった」
「そうそう！2人見てるとさ、早くくっ付け〜！って思ってたもん」
「俺もそう思ってたよ」

あ、これは夢じゃないな。うめが私の頭を撫でる感覚がちゃんとあるもん。これはうめの手だ。

「出会った時から好きだったのに、なんでもっと早く自分のものにしなかったんだろうね」
「なんかエモい」
「エモいのか？」
「梅ちゃん、本当にAのこと大好きなんだね」
「うん。直接は言わないけどね」
「それ直接言わないと伝わんないよ！」
「そうかな、伝わってると思ってたけど」

充分伝わってるよ、けど言葉で伝えてくれるともっと嬉しい。

「もうそろそろ始まるね、起こしてあげなきゃ」
「おい、起きろ」
『ひゃっ！ちょっと！なんでお尻触るの！』
「ああごめん西山のと間違えた」
「なんで僕の尻と間違えるんだよ」
「そこに尻があったから」
「なにそれ」
「でも目覚めたでしょ」
『うん、覚めた』

ちょっと前にね。時計を見たら始まるまであと10分くらい。

『はぁ、眠かった』
「夢見たー？」
『夢？あのね、うめが私のこと大好きって夢見た』
「え〜それ夢じゃなくて現じ…痛っ！蹴らないで梅ちゃん！」
「西山うるせーぞお前」
「こっわ！」
『うめ、大好き！』
「はいはい」

言葉で言わないと伝わらない。私の大好きがうめにちゃんと伝わってるといいな。いや、伝わってるはず。だって髪からチラ見えする耳が真っ赤だもん。

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