兄、帰る ページ36
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現場に着いても兄のことを考えてしまう。
隣に座ってるうめは涼しい顔で台本チェックしてるし悩んでるの私だけじゃん。
「おはよう〜どうしたの?」
『あ、こうちゃんおはよう…あのさ、お兄ちゃんが来たんだよね』
「え?Aの?」
『そう』
「へえ〜良かったじゃん。お兄さんと仲良いもんね」
『良いのかはわかんないけど…』
こうちゃんにも年の離れたお兄さんとお姉さんがいる。仲良しエピソードをよく聞くから少し羨ましく感じる。
「まあ僕男の子だからAみたいなのはないけど、ただ純粋に心配してくれてるんだよ」
『なのかなぁ…過保護に感じる時あるんだよね』
「過保護なくらいが丁度いいよ。Aのこと本気で心配してるんだし。女の子が東京で一人暮らしなんて僕に娘いたら絶対にさせたくないもん」
『なんかそんな感じするなぁ』
こうちゃんに相談したら少し気が楽になったかもしれない。そう思ってたらうめが口を開いた。
「昨日俺、Aん家に泊まってたから朝鉢合わせたんだよ」
「え、まじ?嘘でしょ。やばいじゃん。そりゃお兄さん心配するわ」
「いやどういうことだよ」
収録も無事終わり、スマホを見たら着信が五件くらい入ってた。全部兄である。
「すごいな。やっぱり。早く行かないと」
『うめも来るの…?』
「だってほら、朝バタバタでちゃんと挨拶してないから」
『ありがとう…じゃあ連絡しとくね』
仕事が終わった事と一緒に伝えたら、ここにいるよと位置情報が送られてきた。東京駅にもう着いてるらしい。
待ち合わせ場所に着いたら朝見た時と変わらない兄がいた。
『お待たせお兄ちゃん!ご飯どこ行く?』
「あー、お兄ちゃん思ったより新幹線の時間早かったからそのまま帰るよ」
『え、帰るの?そっか…』
「また連絡する。あ、切符買うの忘れた」
『一番大事じゃんそれ』
「お兄ちゃん手塞がってるからA買ってきて、財布渡すから」
『うん、わかった。財布借りるね。ごめんうめ、ちょっと待ってて』
帰るのに切符が必要なのにそれを忘れちゃう兄が謎すぎた。2人残して大丈夫かな?と不安はあったけど、無事に切符を買って、改札口まで来た。
「じゃあまた連絡するから。ちゃんと鍵閉めて寝るんだぞ」
『うん。ありがとう。気をつけて帰ってね』
「おう。梅原くん、Aをよろしくね」
「わかりました」
「じゃ、また」
そう言って切符を通して歩いていった。
姿が見えなくなるまで見送って、私たちは来た道を引き返した。
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ばんそうこう(プロフ) - p@n@さん» なるほど…!ラジオで公表する前のお話だったのですね。返信ありがとうございます!引き続き応援しております! (2021年1月4日 0時) (レス) id: 61bb474ff8 (このIDを非表示/違反報告)
p@n@(プロフ) - ばんそうこうさん» コメントありがとうございます!ややこしてすみません。ラジオで発表したあとにTwitterで公表していますが彼はその放送前に知ったような流れです。近く修正しようと思います! (2021年1月3日 23時) (レス) id: 82332159e0 (このIDを非表示/違反報告)
ばんそうこう(プロフ) - 楽しく読ませていただいております!29ページのTwitterでたろりは二人が付き合っていることを把握している様子なのですが、31ページでは初めて知ったような描写がありますが…時系列について混乱してしまいました。読み落とし等ございましたら申し訳ございません! (2021年1月3日 23時) (レス) id: 61bb474ff8 (このIDを非表示/違反報告)
p@n@(プロフ) - スーさん。さん» あ、あ、ありがとうございます……!とても嬉しいです。これからも頑張ります! (2020年8月2日 2時) (レス) id: 82332159e0 (このIDを非表示/違反報告)
スーさん。(プロフ) - は、は、初めまして…!いつも楽しく読ませて頂いてます…!読む度に胸キュンが止まなくて、心臓何個あっても足んないです…(昇天) 更新頑張ってください!!楽しみ&応援してます!!! (2020年7月31日 1時) (レス) id: 1959e07ea8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:p@n@ | 作成日時:2020年7月25日 10時