梅 と 松【梅原裕一郎】

誕生日プレゼント ページ31

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Aが誕生日を迎えた。未成年の時からわりと一緒にいる人がもう23歳なことに時の流れの早さを感じる。
偶然にもスケジュールが空いてたから俺の家に泊まらせて一日過ごすことにした。

相変わらず寝相が悪いから起こさないようにして毛布をかけた。顔だけ出てるのがなんか面白いなと思って写真を撮った。だれに見せる訳でもないけど、ただの自己満でフォルダの中にはAの写真だらけになっている。

シャッター音で起こしてしまったのか、なに言ってるか聞き取れないけど、目は確実に覚めてる。

『んん…んぁ…あー…なに』
「いやこっちがなに」
『おはよう…』
「おはよう。誕生日おめでとう」
『えぇ…？あ、そうか……今日誕生日……私昨日日付け変わる前に寝た？』
「2分前」
『うわーまじでかー、やだ』

誕生日になる瞬間は起きていたい派のA。起こそうと思ったけど、あまりにも気持ちよさそうに眠る顔を見たら起こせなかった。

『なんかいつもと同じ朝だな〜』
「朝っていうかもう昼だけど」
『ほんとじゃん……起こしてよ』
「俺も今起きたんだよ」
『じゃあいいか』

よいしょ、とベッドを降りて顔を洗いに行ったのを見届けた。自分のじゃなくて俺のパーカーだけ着てるから晒される足が寒そうに見えた。
『うわー！めちゃくちゃおめでとうのLINEとか来てる！』
「良かったじゃん。西山とかもツイートしてた」
『本当に！ちょっと見てみよ』

そう言ってまたベッドに寝転んだ。おい、見えるぞ。てかちょっと見えた。
うつ伏せになって足をぶらぶらさせながらずっとスマホに釘付けだ。俺はこんなにも足に釘付けなのに。

『ねえ見てみて！』
「あ？うん」
『いや、ちょっとどこ見てんの』
「足だけど？」
『少しは隠しなよ』
「隠すのはその足だろ」
『太いから隠せってこと！？』
「いちいちエ ロいから隠せってこと。いや、隠すな」
『なんだそれ』

梅ちゃんのえっち〜なんていいながらまたスマホに目を向けたA。こいつは多分俺を舐めてるな……

うつ伏せになったAの上に覆いかぶさって体重をかけた。重い重い言いながら顔だけこっちに向いた。

『朝からやだなんだけど』
「もう昼だしセーフ。お前が悪い」
『ごめんなさいするから許して』
「一回させてくれたら許す」
『ダメじゃん。もう、誕生日なんだけど』
「最高のプレゼントあげるよ」

うつ伏せだったのを仰向けにして、口付けた。
プレゼントをもらうのはこっちかもしれない。

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