それは反則 ページ11
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彼の言ってた行きたいところというのは普通のスーパーだった。なんかもっと家具を見に行きたいとかそんなんだと思ったから荷物持ちもわりと覚悟していたのに。
『スーパーなら自分で行きなよ』
「別にいいだろ。暇なくせに」
『暇ですけど!』
「Aもこうやって買い物とかすんの?」
『うーん、あんまりしないかな。外食多いし』
「へえ。じゃあ料理もあんましない?」
『最近はしてないね』
食にこだわりはないと言ってたし、料理なんて言葉が出てくるのは意外だった。でもペペロンチーノ好きだしな。あんまり関係ないかもしれないけど。
「なんか作ってって言ったら作れる?」
『え?ものによるけど』
「何なら作れるの?」
『うーん、ハンバーグとか?』
「じゃあ作って」
『え』
「作れるんでしょ。ほらカゴとカート持って」
『あっ、はい』
言われるがままにして歩いた。
とりあえず買い物を終えてレジに向かった。
財布を出したら「俺が頼んだからいい」と言われてカバンに戻された。
もっと優しいことに袋も持ってくれた。荷物持ちに付き合うためにいるのに、そこまでされたら私はどうしたらいいか分からない。
帰宅して作って、食べてもらった。我ながら上手に出来て満足。
「あ、うま」
『美味しい?よかった〜』
「得意料理じゃん」
『公言していいかな』
「いいと思う。美味い」
『なんか嬉しい。ありがとう』
ちゃんと完食してくれて、片付けも手伝ってもらった。洗い物をしながら喋ってたら、袖がずり落ちてきて、お皿を拭いてた手を止めて捲ってくれた。
横に立って普通に上げてくれればよかったのに、わざわざ後ろに回って抱き締めるかのようにしてくれたからものすごくドキドキした。
「はい、これでいい?」
『あ…うん…ありがとう』
「半袖着ろよ」
『いや、今めっちゃ真冬ですけど』
片付け終わってそろそろ夜も遅くなってきた。
本音を言うと帰るのめんどくせえ〜って思ってるし、まだ一緒にいたい。彼女でもないくせにそんなこと思ってたら気持ち悪いって思われそうで、何も言わずに帰る準備を始めた。どうせ明日も仕事で一緒になるし。
「帰んの?」
『明日仕事だからね』
「同じ現場なんだから一緒に行けばいいじゃん」
『そんなことしたら変に思われるよ』
「なんで。別にいいじゃん。言わせとけば」
『でも』
「いいから泊まれって言ってんの分かんないの?」
『あ…はい…ありがとうございます』
とてつもなくドキッとした。反則じゃない…?
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ばんそうこう(プロフ) - p@n@さん» なるほど…!ラジオで公表する前のお話だったのですね。返信ありがとうございます!引き続き応援しております! (2021年1月4日 0時) (レス) id: 61bb474ff8 (このIDを非表示/違反報告)
p@n@(プロフ) - ばんそうこうさん» コメントありがとうございます!ややこしてすみません。ラジオで発表したあとにTwitterで公表していますが彼はその放送前に知ったような流れです。近く修正しようと思います! (2021年1月3日 23時) (レス) id: 82332159e0 (このIDを非表示/違反報告)
ばんそうこう(プロフ) - 楽しく読ませていただいております!29ページのTwitterでたろりは二人が付き合っていることを把握している様子なのですが、31ページでは初めて知ったような描写がありますが…時系列について混乱してしまいました。読み落とし等ございましたら申し訳ございません! (2021年1月3日 23時) (レス) id: 61bb474ff8 (このIDを非表示/違反報告)
p@n@(プロフ) - スーさん。さん» あ、あ、ありがとうございます……!とても嬉しいです。これからも頑張ります! (2020年8月2日 2時) (レス) id: 82332159e0 (このIDを非表示/違反報告)
スーさん。(プロフ) - は、は、初めまして…!いつも楽しく読ませて頂いてます…!読む度に胸キュンが止まなくて、心臓何個あっても足んないです…(昇天) 更新頑張ってください!!楽しみ&応援してます!!! (2020年7月31日 1時) (レス) id: 1959e07ea8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:p@n@ | 作成日時:2020年7月25日 10時