マグカップ ページ23
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「付き合ってるんでしょ?バラされたくないよね?今二人とも大人気なんだからこんなことバレたらどうなるか分かる?」
お手洗いに行って戻ろうとしたとき。下品な笑みで近付いてくるそいつが気持ち悪くて吐きそうになった。私はともかく梅ちゃんまでも脅すような事を言われたことに腹が立って、怒りを通り越して泣けてきた。
横をすり抜けて個室に戻って、何も言わずに店を出た。江口さんとこうちゃんは「A!?」と声を揃えてびっくりしてたけど、そんな声は右から左に受け流された。
泣きながら歩いていたら手を掴まれて監督かと思ってドキッとした。振り返ると息を切らしたこうちゃんで、追いかけてくれたことに気付いてもっと泣いた。
鍵を預かってたこうちゃんと一緒に江口さん家に行って、しばらく経って江口さんも帰ってきた。事の真相を話すと、今まで見たことないくらい二人は怒ってくれて、知らぬ間に梅ちゃんに連絡してくれたらしい。
気付いたら梅ちゃんがいた。
「今日は自分ん家帰りなね、梅ちゃん一緒に行ってあげて」
「わかりました」
『えっ、でもそんなことしたらどこで見てるか分かんないんだよ、ダメだよ』
「今はそんなこと言ってる場合じゃないんだよ。一人で居て何かあったらどうすんの」
珍しく聞く江口さんの真剣な声に頷くしかなかった。
タクシーを呼んでくれてたみたいで、二人で一緒に帰った。
自分ん家に帰ると妙な安心感が溢れてきて、玄関で大泣きした。とても怖かった。
彼女にすらなれてないし一緒に居られなくなるかもしれない。
このまま彼が干されたりでもしたら私のせいだ。
色々考えたら泣き止めなくなって、呼吸の仕方もおかしくなりそうだった。
「落ち着け、大丈夫だから」
『だっ、だって、もう会えないかも…っ、しれないじゃん…やだよそんなの…梅と一緒にいたいもん…好きだから一緒にいたい…うぅっ』
「A、もう泣き止め。大丈夫だから」
抱き締められて、やっと少し落ち着いてきた。
先に靴を脱いであがった彼の腕の中に収まって、呼吸を整えリビングに行った。
「マグカップどこだ…片付けるの雑すぎるだろ…」
きっとカフェオレをいれてくれるんだと思う。その度にマグカップを棚から探してくれる。そして毎回棚の中が散らかってることにブツブツ言う。
なんか我慢出来なくて、何も言わずに後ろから抱き着いた。こんなことをするのは人生で初めてだと思う。
なんだかこうせずにはいられなかったのだ。
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ばんそうこう(プロフ) - p@n@さん» なるほど…!ラジオで公表する前のお話だったのですね。返信ありがとうございます!引き続き応援しております! (2021年1月4日 0時) (レス) id: 61bb474ff8 (このIDを非表示/違反報告)
p@n@(プロフ) - ばんそうこうさん» コメントありがとうございます!ややこしてすみません。ラジオで発表したあとにTwitterで公表していますが彼はその放送前に知ったような流れです。近く修正しようと思います! (2021年1月3日 23時) (レス) id: 82332159e0 (このIDを非表示/違反報告)
ばんそうこう(プロフ) - 楽しく読ませていただいております!29ページのTwitterでたろりは二人が付き合っていることを把握している様子なのですが、31ページでは初めて知ったような描写がありますが…時系列について混乱してしまいました。読み落とし等ございましたら申し訳ございません! (2021年1月3日 23時) (レス) id: 61bb474ff8 (このIDを非表示/違反報告)
p@n@(プロフ) - スーさん。さん» あ、あ、ありがとうございます……!とても嬉しいです。これからも頑張ります! (2020年8月2日 2時) (レス) id: 82332159e0 (このIDを非表示/違反報告)
スーさん。(プロフ) - は、は、初めまして…!いつも楽しく読ませて頂いてます…!読む度に胸キュンが止まなくて、心臓何個あっても足んないです…(昇天) 更新頑張ってください!!楽しみ&応援してます!!! (2020年7月31日 1時) (レス) id: 1959e07ea8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:p@n@ | 作成日時:2020年7月25日 10時