unexpected *１１３ ページ27
鉈、といっても肉切り包丁みたいなものだ。
そんな物を振り下ろされた私の背中。
ーー肉が切れていなきゃ血も出ていない。
ただ、殴打された痛みだけが、しばらく続き、それさえも間もなく消えた。
どうして。
そんな、うそ。
なんでーー。
「ーーちゃん、ぇちゃん！」
チ「お姉ちゃんってばあ！！」
あ「！！」
チサの声で意識を取り戻した。
さっきの男も、鉈で切れない私に恐れおののいて、数歩後ずさってこちらを見ている。
「…っの、化け物があああ！！」
あ「ーーっ」
何かが吹っ切れたように、半狂乱になりながら、鉈を振り回してこちらに向かってきた。
チサをかばいつつ避けて、反撃しようとした、その時。
《ビーッ！ビーッ！》
耳を震わすブザーの音が、部屋に鳴り響いた。
そして息をつく暇もなく、天井、壁、四方からガスが噴射される。
あ「っチサ、口、塞い…、っ、…！」
チ「っ、うぅ、…！」
「おい！カメラで見ているだろう！まだ我々も居る…っ、やめ、っあ…！！」
咄嗟にガスを吸い込まぬよう袖を引き伸ばし掌で口を覆ったが、どうやら粘膜からならどこからでも体内に影響を及ぼすガスだったようだ。
催眠、なのか筋肉弛緩なのか、よく分からないが、体から力が抜けて、膝をつく。
室内の研究者たち諸共のその攻撃は、防ぎようが無かった。
視界の端で捉えた研究者たち。
私たちにこれだけ効くのだから、彼らには一溜りもないガスのはずだ。
監視カメラの向こうで、こちらの様子を見ていた奴らは、血も涙もないんだろう。
薄れゆく意識の中。
チサの手だけは、握ったままだった。
・
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目が覚めて、最初に感じたのは床の冷たさ。
床に転がされているのだ。
「………」
視界に写るのは私と同じように床に横たわっている人たち。
皆ボロボロの服を着ているから、実験体の人たちだろう。
体には拘束具が無かったので、ゆっくりと起き上がる。
辺りを見回し、妹のーーチサの姿を探す。
あ「チサ…？」
声が掠れて、喉がヒリヒリする。
目もまだ霞んでいて、本調子では無い。
それでもチサはすぐに見つかった。
近寄って、また、辺りを見渡す。
ーー檻の中に入れられ、さらに箱のようなものに囲われているようで、鉄格子の外も鉄の板で囲まれていた。
あ「…これから、どうなるん、だろうね」
ひとりごちて、蹲る。
背中の傷の痛さは、もう消えていた。
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柚音(プロフ) - サンゴさん» お返事遅くなってすみません！ありがとうございます！ゆっくりとですが完結まで書き終えられるように頑張ります！コメントありがとうございました！！ (2019年1月20日 3時) (
レス) id: ba4520d13c (このIDを非表示/違反報告)
サンゴ - 続きめっちゃ気になりますっ！！ (2019年1月17日 22時) (レス) id: f7865afa83 (このIDを非表示/違反報告)
サンゴ - 話が深くて読んでいて面白いです！ (2018年11月19日 18時) (レス) id: f7865afa83 (このIDを非表示/違反報告)
柚音(プロフ) - 赤間利衣さん» あけましておめでとうございます！閲覧頂きありがとうございます！更新頑張ります！ (2018年1月2日 1時) (レス) id: ba4520d13c (このIDを非表示/違反報告)
柚音(プロフ) - ちさきさん» あけましておめでとうございます！コメントありがとうございます、更新頑張ります！ (2018年1月2日 1時) (レス) id: ba4520d13c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚音
| 作成日時：2014年5月20日 19時
