____3 ページ3
.
「心配すんな、相良。お前が思ってるような気持ちはねぇ。ただコイツがひとりでウロウロしてたんで送ってやってただけだ」
「送ってやってただけだ？ハッ…態々、開久の頭がか？誰もが恐れ慄く開久の頭が暢気に女を送ってるなんて笑えるじゃねーか」
「…その開久のＮｏ.２は事実上 相良テメェだろ。なんの用だか知らねーが、文句があんならテメェの女をひとりでウロウロさせねぇことだな」
「なんだと？テメェ何様のつもりだ？あぁ！？」
「あ？テメェが何様のつもりなんだ相良。くだらねぇ用なんか優先させてんじゃねー！！」
お互いの胸倉を掴み合い、おでこを擦り付けながら睨み合うふたりにガタガタと体が震えた。
ただ送ってもらっていただけだったのに、今にも殴り合いがはじまってしまいそうな片桐さんと相良くんに何もできない自分が悔しくて。
「相良くん…！ごめ、んなさいっ…か、片桐さんは何も、悪くないの…！だから、お願い、殴ったり…しないでっ」
片桐さんの胸倉を掴んだままのその腕に縋り付いた。
ボロボロと溢れる涙と、震える腕もそのままに何度もお願いと口に出すわたしを見てなのか、先に手を引いたのは片桐さんのほうだった。
「他の奴に任せたくねぇなら、きっちりテメェが横に張りついとけ！ケンカなんざいつでも腐る程できんだろうが」
「…チッ」
「か、たぎりさん…あの、っ」
「いい、気にするな。じゃあな」
地面に落ちた鞄を拾い上げた片桐さんは振り返りもせず、角を曲がって去っていった。
そして残されたわたし達の間にはただ無言の時が流れていくばかりで、怒っていたはずの相良くんが何も言葉を発しないことが怖くて体の震えも涙もとまらない。
ただ、触れたままの腕を振り払われることなどはなくて、今どんな顔をしているのか見たい気持ちもあったけれど出来ず俯くわたしは、再び腕を掴まれたかと思うと引かれるがまま歩き出していた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1618人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蓮(プロフ) - お久しぶりです！もうすぐ劇場版の公開ですね。また更新されるの楽しみに待ってます!!! (2020年7月16日 23時) (
レス) id: e90feb906e (このIDを非表示/違反報告)
なゆ - 1~3までぶっ通しで読みましたでございます(？)めちゃめちゃ続き気になります………映画公開まもなくですね、、！！！更新待ってます!!!! (2020年7月15日 6時) (レス) id: 5f56a1975b (このIDを非表示/違反報告)
ぽん酢(プロフ) - えりかさん» コメントありがとうございます！中々進まない中、続きをお待ちいただけていること大変嬉しく感じております(;_;)忙しさからなかなか執筆活動を進めるのが難しく、お盆休みに更新予定なのでお待ちいただければと思います！すみません(><) (2019年8月8日 22時) (レス) id: a7697987bc (このIDを非表示/違反報告)
ぽん酢(プロフ) - いっちーさん» コメントありがとうございます！少し仕事のほうが忙しく、お盆休みに入ったら執筆進めれるかと思いますのでしばしお待ち頂ければと思います(;_;)すみません、、、、！ (2019年8月8日 22時) (レス) id: a7697987bc (このIDを非表示/違反報告)
えりか(プロフ) - 続きが気になってしまってます！ (2019年8月8日 20時) (レス) id: fcdce8f117 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽん酢 | 作成日時：2019年6月22日 21時
