検索窓
今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:243,663 hit

…【351】 ページ8

今日の裕太はいつもよりご機嫌。

夜中に発作も出なかったみたいだし、ベッドには…

「宏、カワウソも連れて来てくれたんだね。」

「うん。」
カワウソのぬいぐるみ。
裕太の部屋にないと思ったら、こんなところにいた。

「ミツ兄がね…お弁当…あっ…ちがっ…。」
慌てて口を塞ぐ裕太。

宏光と約束でもしたのかな?

「宏がお弁当くれたんでしょ?」

「…えっと…。」
やっぱり宏光に“みんなには内緒”とか言われたんだろうな…。

「セロリもちゃんと食べてたら、気付かなかったかもしれないなー…。」

「セロリ…嫌いだもん。」

「だから、バレちゃったんだよ。」

「んー…。お弁当…おいしかったよ。」
宏光のお弁当って、普段の裕太だったら食べきれない量だけど、セロリ以外は完食してたんだよね。

「お弁当食べて、少しは元気になった?」

「うん。昨日は、苦しくならなかったよ…。」

おかげで今日は検査も出来たもんね。

「ねぇ、金魚…大丈夫?」

「高嗣が一生懸命お世話してるよ。」

裕太が入院してから、裕太の金魚は高嗣がお世話係になった。

“裕兄が帰って来るまで、俺がお世話する!”
って、朝も早く起きて、きちんとお世話してる。

「僕が帰るまで元気でいてほしいな。」

「金魚も裕太が帰って来るの待ってるよ。」

ニコニコしてたのに、急に静かになった裕太。

「裕太?どうしたの?痛い?苦しい?」
ナースコールに手を伸ばす。

「ねぇ、A…僕…いつ帰れるの?」

「検査が全部終わったら帰れるよ。」
当初の予定よりも少し伸びたけど、もうすぐ帰れるはずだよ。

「もう…検査…しなくていい…」
いつもそれなりに抵抗はするけど、検査自体を拒否したことは今まで一度もない。

「裕太…?」
それなのにどうして…?

「家に帰りたい……。」
色んなことが重なって、いつもより不安になってるんだと思った。

「裕太、もう少し頑張ろう…。すぐに帰れるから…。」

本当はずっとそばにいてあげたし、可能なら今すぐにでも連れて帰りたい。

でも…そのどちらも出来ないのが現実…。

「失礼します。裕太くん、点滴替えるわね。」

「猪原さん、今日…夜勤?」

「そうよ。猪原さんが夜勤だと嫌?」

「ううん。」
猪原さんが夜勤なら、むしろ安心だね。

「そうだ、Aちゃん、先生がお話しがあるみたい。」

「わかりました。」

“また明日ね。”
裕太にそう告げて、裕太の病室をあとにした。

この時…
ちゃんと心の準備をしておけば良かった…。

…【352】→←…【350】



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (194 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
324人がお気に入り
設定タグ:Kis-My-Ft2 , キスマイ , 絆、家族   
作品ジャンル:その他
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:浅緋 | 作成日時:2015年12月5日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。