…【346】 ページ3
*Side:宏光*
「北山ー、今日…」
HR終わり、さっさと帰ろうとすると大倉に話し掛けられた。
「行かねー。」
それを遮るように返事する。
「最後まで言わせろよ。」
「どうせ、カラオケかゲーセンだろ?」
コイツの誘いは、だいたいいつもそう。
「バレたか。」
「今日はパス。裕太んトコ行くんだよ。」
「あの子、また入院してんの?」
「まぁな。んじゃ。」
それを丁寧(?)に断って教室を出た。
昨日の夜のこと…
明日、弁当いらないことをAに言い忘れてたから、それを言おうと階段を下りると、食堂からAと翔馬くんの話し声が聞こえた。
「裕太、あんまりご飯食べてないって。」
「元々、そんなに食う方じゃないだろ?」
「そうだけど…。明日、何か作って行ってあげようかな?」
「明日は無理じゃないのか?」
「そうだ…。明日は行かれないね…。」
あの日から、裕太には会ってない。
何となく会えなくて…
俺のせいで入院したかもしれないのに…
「明日、昼までじゃん…。」
明日、弁当いらない事を告げずにその場を後にする。
向かったのは裕太の部屋。
「よし、これでいいか。」
裕太のベッドには、いくつかのぬいぐるみが置いてある。
裕太が淋しくないように置いてるんだって。
その中から、夏に俺達が買った“カワウソ”のぬいぐるみを選ぶ。
裕太に会いに行こう…。
そう決めた。
*−*−*−*−*
裕太の病室。
ベッドのカーテンが引いてあって、なんかホッとした。
とりあえず、リュックからカワウソを出して、カーテンの隙間から向こう側に入れてみる。
「…だ、れ…?」
「裕太っ!」
カワウソの声とか、わかんないけど…
「ミツ兄…?」
って、バレバレじゃん俺…。
恥かしー…
「じゃーーん!」
裕太、ちょっと痩せたかな?
元々、色白な裕太だけど、なんか前よりも更に白くなってないか?
やっぱりゴハンは食べてないし…。
「ミツ兄…つらい…ね?」
人の心配するより、少しは自分の心配しろよ…。
「ほれっ!」
裕太に弁当を手渡す。
嬉しそうにAの作った弁当を頬張る裕太。
「うまい?」
「うん、おいしい。」
一人でここにいるんだもんな…。
病院にいても発作は出るだろうし…
不安で淋しいよな…。
「ミツ兄…」
「ん?」
「ミツ兄は…強いね…。」
「んなことねーよ…。おっ、ちゃんと食えてんな。」
「ふふっ…。」
俺は強くなんかない。
裕太の方が…
俺よりも…
何倍も何十倍も“強い”んだぞ。
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作者名:浅緋 | 作成日時:2015年12月5日 23時