…【359】 ページ16
*Side:太輔*
「俺と渉はこっち、お前達はあっちから探せ。何かあったら連絡しろ。」
外に出るとすぐに翔馬くんはそう言った。
俺とミツはバス通り沿いを、翔馬くんと渉は大通りと駅の方から、病院に向かうことにした。
ミツの言う通り、俺達は“親代わり”がいれば、生きて行ける。
でも、裕太は“親”がいないと生きて行けないから…
裕太が生きて行けるなら、それでいい。
「裕太、こっちの道通ってないんじゃね?」
もう病院はすぐそこ。
ここに来るまで、バスは一本も見なかった。
「仕方ない、戻るか…。」
ミツの言葉に今来た道を引き返す。
「なぁ…」「おい!」
ミツと同時に口を開く。
「なんだよ?」
「そっちこそ、なんだよ?」
「「ぼうけん公園!!」」
うっわ、今度はミツとハモったし…。
じゃなくて…。
“ぼうけん公園”
裕太が幼稚園生とか…
そんくらいの時によく遊びに連れて来てもらった、ちょっと大きめな公園。
虹の家と大学病院のちょうど真ん中くらいで、バス通りから道1本入ったところにある。
「おい、あれ…。」
ぼんやり見える人影…。
「裕太だ…。」
走り出したミツを追いかける。
「裕太!ここで何してんだよ!?」
「ミツ兄?太兄?」
「裕太?大丈夫か?うわっ…体冷たくなってんじゃん。風邪引いたら、どうすんだよ?ミツ、そこの自販機でなんか温かいの買ってきて…。」
いつからここにいたのかわかんないけど、裕太の体はすごく冷たくて、急いで自分のコートを裕太に着せる。
真冬にパーカー1枚って、俺やミツ、渉でも風邪引くレベル…。
「家…帰ろうと思ったの…でも疲れちゃって…。」
裕太、自分の体のこと知ってんのかな?
「ほら…。裕太、帰るぞ。」
裕太にホットココアを渡しながらミツが言った。
「病院…やだ…。」
知ってるから、家に帰りたいのか?
それとも単なるホームシック?
「何言ってんだよ?“俺らの家”に帰るんだろ?」
「うん…家に帰る…。」
さすがミツだ。
ここからなら、虹の家も病院も同じくらい。
一旦、家に連れて帰ろう…。
「裕太、おんぶしてやるよ。乗れ。」
「太輔?お前…」
「ミツはチビだから頼りないからなー。」
ミツは知ってるんだ。
俺が他人に背中を触られるのも嫌だったってこと…。
「てめー…」
「うそうそ、コート着てないし。ミツは翔馬くんに連絡しろって。」
だから、今まで一度も裕太や高嗣をおんぶしたことない。
どんなにお願いされても、いつも断り続けてた。
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作者名:浅緋 | 作成日時:2015年12月5日 23時