…【45】 ページ45
「やっぱり降ってきたね。」
家の前に車を止めると、フロントガラスに雨粒が落ちてきた。
「裕太、先に家入ってて。」
「うん。」
裕太を先に車から降ろす。
お兄ちゃんがいるから大丈夫でしょ。
こんなにピッタリ天気予報が当たるなんて珍しい。
「今、帰りか?早かったな。」
玄関に入ると同時に部屋から出てきたお兄ちゃん。
と、まだ玄関にいた裕太。
“ただいま”言わなかったな…。
「ただいま。お兄ちゃん。雨降ってきちゃったよ。」
「え?あ、本当だ。」
気付いてなかったんだね…。
仕事に没頭してて、気付かなかったってことにしておくよ。
「よし、じゃあゴハン作るから、裕太は手洗いとうがい、それからカバンはお部屋ね。」
「はぁい。」
あら?一人でさっさと車いすを動かして、部屋に戻って行っちゃった。
「裕太、今日どうした?」
お兄ちゃんもビックリしてる。
「さぁ…?今日は自分から“おひさまハウス行きたい”って言ったし、他の子が居なかったせいか、紫月にも積極的に話し掛けてたし。下の子が増えたから、お兄ちゃんらしくなろうって思ったのかな?」
今の裕太は急成長中だったりして…?
「そっか。でも、あんまり無理させんなよ。」
「わかってるよ。」
何年、裕太と一緒にいると思ってんの?
そんなことわかってるってば…。
「あ、のさ…」
「なんだよ?」
「あ、夜でいいや。また夜に話すね。早くゴハン作らなきゃ。」
「なんだ?変な奴…。」
さっきの話は夜の総括で話せばいいや。
裕太だって、入院する前の生活にやっと戻ったばかり。
焦らず、ゆっくりね。
「あ、お兄ちゃん。健永どうだった?大丈夫そうだった?」
冷蔵庫の中から、材料を取り出しながらお兄ちゃんに問いかける。
「それがさ、校長先生が配慮してくれたみたいで、高嗣と同じクラスになってた。」
「へぇー…何とも話のわかる校長先生だこと…。」
「もう一学期も半分終わるし、知らない子の中に放り込まれるよりも高嗣と一緒の方が健永も何かと安心するだろう。」
「まぁ、そうだよね。ニコニコ顔で帰って来てくれるといいな。」
「外は凄いことになってるけどな。」
「あ、ホントだ…。」
いつの間にか、雨は勢いを増して、窓に打ち付ける程になっていた。
あとで人数分のタオルを玄関に置いておかなくちゃ。
この雨じゃきっと濡れるだろうし、お風呂も早めに入れるようにしておこう。
昼食の準備をしながら、そんなことをぼんやり考えていた。
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浅緋(プロフ) - コロロさん» 初めまして。コメントありがとうございます。これからも頑張ります。 (2015年12月6日 9時) (レス) id: 8150003928 (このIDを非表示/違反報告)
コロロ(プロフ) - 始めまして!すっごい面白いです!玉ちゃんはかんもく症も持ってるんですね…。実は私もかんもく症で学校で喋れないのでとても共感出来ます。これからも頑張ってください♪ (2015年12月6日 9時) (レス) id: 61a1863fd9 (このIDを非表示/違反報告)
浅緋(プロフ) - 璃子さん» コメントありがとうございます。みっくんの過去はもう少し後になりますが、必ず出ます。待っていて下さい。これからも頑張るので宜しくお願いします。 (2015年6月1日 0時) (レス) id: 09f5dc02af (このIDを非表示/違反報告)
璃子(プロフ) - いつも読んでます!みっくんの過去編みたいです!これからも頑張ってください。 (2015年6月1日 0時) (レス) id: 17fec4b2db (このIDを非表示/違反報告)
浅緋(プロフ) - あやのすけさん» コメントありがとうございます。裕太くんの過去楽しみにしてて下さい。パート2では、必ず書きます(о´∀`о) (2015年3月14日 1時) (レス) id: 09f5dc02af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:浅緋 | 作成日時:2015年2月8日 0時