…【35】 ページ35
*Side Hiromitsu*
「太輔どう？」
部屋に戻って、翔馬くんに声を掛けた。
「大丈夫、落ち着いた。」
ベッドで丸くなって寝ている太輔。
こういう時の太輔は大抵こうやって寝るんだよな…。
「俺、代わるよ。」
「悪いな、宏…。みんなは？」
「Aと下にいる。やっぱちょっと動揺してるっぽい…。」
みんなあんな太輔見たの初めてだもんな。
驚くなって言う方が無理だよ。
「心配すんな。様子見てくるから。なんかあったら呼べよ。」
俺に氷嚢を渡して翔馬くんは部屋を出て行った。
「やっぱ簡単に忘れることなんて出来ないよな…。」
汗で額に張り付いた前髪をそっと分ける。
.
『いたい…いたいよ…。』
太輔が虹の家に来たばかりの頃、夜中に聞こえる泣き声で目が覚めた。
「太輔君、大丈夫よ…。」
「桃子先生？どうしたの？」
桃子先生の腕に抱かれても、痛い、痛いって泣いている太輔。
「ごめんね、宏君、起こしちゃった？」
あの頃はまだ、Aのお母さんの桃子先生がいて、お父さん先生もいて、２人が俺たちの世話をしてくれてたんだ。
「ううん、へいき。太輔、どうしたの？」
「背中が痛いんだって。」
「せなか？だって、太輔のケガ治ったんでしょ？」
「体のケガは治っても、心のケガがまだ治ってないのよ。」
「心のケガ…？」
「そうよ…。心のケガにはお薬が無いから、治るのに時間がかかるのよ。」
「ふーん…そうなんだ。」
まだ子供だった俺はそのことがよくわからなかった。
.
.
「んん…うぅ…。」
時々、魘されて顔を歪める太輔。
夢でも見てんのかな…？
忘れる事が出来ない記憶。
何かの拍子に現れては、悪さをする。
どんなに忘れたいって願っても忘れることは出来ない。
忘れられたら、どんなに楽なんだろう・・・。
今なら、わかる。
桃子先生の言ってたこと。
心のケガはもしかしたら、一生治らないのかもしれない…。
そうだとしたら…？
「んん…ミツ？」
「目、覚めたか？気分は？」
「最悪…。自分でもビックリした。」
「そりゃそうだろうな…。もうすぐ夕飯だけど？」
「んー…着替えたら下行く。」
「あんま無理すんなよ。」
「ミツもね。」
…！？
「ミツ…また一人で悩んでる…？」
「そ、そんなことねーよ。先に下行ってるぞ。」
俺も太輔も…いや、ここにいる皆もきっと心に傷を抱えたまま、生きて行くんだろうな…。
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浅緋(プロフ) - コロロさん» 初めまして。コメントありがとうございます。これからも頑張ります。 (2015年12月6日 9時) (
レス) id: 8150003928 (このIDを非表示/違反報告)
コロロ(プロフ) - 始めまして！すっごい面白いです！玉ちゃんはかんもく症も持ってるんですね…。実は私もかんもく症で学校で喋れないのでとても共感出来ます。これからも頑張ってください♪ (2015年12月6日 9時) (レス) id: 61a1863fd9 (このIDを非表示/違反報告)
浅緋(プロフ) - 璃子さん» コメントありがとうございます。みっくんの過去はもう少し後になりますが、必ず出ます。待っていて下さい。これからも頑張るので宜しくお願いします。 (2015年6月1日 0時) (レス) id: 09f5dc02af (このIDを非表示/違反報告)
璃子(プロフ) - いつも読んでます！みっくんの過去編みたいです！これからも頑張ってください。 (2015年6月1日 0時) (レス) id: 17fec4b2db (このIDを非表示/違反報告)
浅緋(プロフ) - あやのすけさん» コメントありがとうございます。裕太くんの過去楽しみにしてて下さい。パート2では、必ず書きます(о´∀`о) (2015年3月14日 1時) (レス) id: 09f5dc02af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：浅緋
| 作成日時：2015年2月8日 0時
