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「太輔がここに来た理由はわかった。」
全てを話終えた時、黙って聞いていた渉が口を開いた。
「でもさ…、食器が割れたり、ケンカなんて、よくあることじゃん。俺がここに来てからも何度もそんなことあった。だけど、今までは何ともなかったじゃん。」
渉の言う通りだよ。
食器が割れるのも男の子同士のケンカも良くあることなんだ…。
でも…
「今日は、高嗣がコップを叩きつけて、健永と掴み合いになったんでしょ?」
高嗣と健永が申し訳なさそうに俯いた。
「別に二人を責めてる訳じゃないの。ただ、それが太ちゃんの記憶とあまりにも似ていたんだよね…。お母さんと揉み合いになって、割れた瓶の上に倒れて大ケガをしたから…。」
太輔の背中に残る大きな傷痕。
ここに来て、傷そのものが治った後も何度も“痛い”と訴えて泣いていた。
それが太輔の心の傷。
でもここ数年はすごく安定していたから、フラッシュバックを起こして一番驚いてるのは太輔本人だと思う。
「ねぇ…訊いてもいい?」
「俊くん?なに?」
「いや…あのさ…太兄が一人でお風呂入ったりするのもそのせいなの?」
「太ちゃんは背中の傷を見られるとパニックになるんだ…。」
「ここに来た最初の頃はさ、そんなに気にはしてなかったんだけどな。」
全てを話そうか迷っていると、宏光が代わりに話し始めた。
虹の家が出来て、一番最初にここに来た宏光。
立場は違くても一緒に色んな事をいっぱい見てきたもんね…。
「2人は小さかったから、覚えてないかもしれないけど、4人で風呂入ってたんだぜ。」
あの頃、虹の家にいたのは宏光と裕太と高嗣で、宏光は初めて年の近い子が来たってすごく喜んでた。
「でも、やっぱり施設で暮らしてるって言うと、色々言ってくる奴っているじゃん。プールの日だったかな…太輔の背中を見た子が大騒ぎしたんだって。その時に色々言われて…。ほぼ背中全部の傷だからさ、隠すに隠せないし…。それからだよ、太輔が背中の傷を見られることを極度に嫌がるようになったのは…。」
あの日の出来事は今でも忘れない。
本当に太輔が壊れるかと思った…。
「みんなにお願いがあるんだけど…」
ここの家のみんなはそんなことしないと思うけど…
「太ちゃんが目を覚ましたら、普通に接してあげてね。きっと今は本人もビックリしてると思うんだ。」
「大丈夫だよ!俺と太兄の仲だよ!!」
「高嗣…お前が一番危ないよ!」
きっと大丈夫。みんなの笑顔が太輔を救ってくれる…。
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浅緋(プロフ) - コロロさん» 初めまして。コメントありがとうございます。これからも頑張ります。 (2015年12月6日 9時) (レス) id: 8150003928 (このIDを非表示/違反報告)
コロロ(プロフ) - 始めまして!すっごい面白いです!玉ちゃんはかんもく症も持ってるんですね…。実は私もかんもく症で学校で喋れないのでとても共感出来ます。これからも頑張ってください♪ (2015年12月6日 9時) (レス) id: 61a1863fd9 (このIDを非表示/違反報告)
浅緋(プロフ) - 璃子さん» コメントありがとうございます。みっくんの過去はもう少し後になりますが、必ず出ます。待っていて下さい。これからも頑張るので宜しくお願いします。 (2015年6月1日 0時) (レス) id: 09f5dc02af (このIDを非表示/違反報告)
璃子(プロフ) - いつも読んでます!みっくんの過去編みたいです!これからも頑張ってください。 (2015年6月1日 0時) (レス) id: 17fec4b2db (このIDを非表示/違反報告)
浅緋(プロフ) - あやのすけさん» コメントありがとうございます。裕太くんの過去楽しみにしてて下さい。パート2では、必ず書きます(о´∀`о) (2015年3月14日 1時) (レス) id: 09f5dc02af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:浅緋 | 作成日時:2015年2月8日 0時