…【32】 ページ32
*Side Taisuke*
「太ちゃんね、おかーさんのこと、だーいすきっ。」
「お母さんも大好きよ。」
物心ついた時から、母さんと二人きりだった。
後から知ったことだけど、俺の母さんは結婚しないで俺を生んだ“未婚の母”だったんだ。
俺の家族は母さんだけで、おじいちゃん、おばあちゃんって呼べる人もいなかった。
「おかーさん…今から、お仕事行くの?」
「そうよ。太ちゃん、ごめんね…。良い子で待っててね。太ちゃんが起きるまでには帰ってくるから。」
母さんは俺を育てる為に夜の仕事をしていた。
夜、俺が寝る頃に仕事に行って、起きる頃に帰ってくる。
それでも、たくさん抱きしめてくれたり、ちゃんとゴハンを作ってくれたり。
いつも笑顔の優しい母さんが大好きだった。
母さんがいっぱい笑ってくれるから、寂しかったけど、我慢できた。
俺が小学生になる頃、母さんは勤めていたスナックを辞めて、小さなスナックを始めた。
「これからは下でお仕事出来るから、太ちゃんと一緒にいる時間が増えるわね。」
勤めていたスナックの常連さんがお金を出してくれて、店舗兼自宅にするために新しく家を借りた。
でも、この頃から、何かが少しずつ変わり始めたんだ…。
「おかーさん、お腹空いた。」
「今からお店なの。ここにお金置いておくから、それで好きな物を買って食べて…いい?」
「うん…、わかった…」
「いい子ね。」
一人で食べるコンビニのお弁当は全然おいしくなかった。
母さんのゴハンなら一人で食べてもおいしく感じるのに…。
「ねぇ…おかーさん、今日がっこうでね…」
「今、忙しいの。早く上に行ってちょうだい。」
母さんは俺のことを見なくなったし、
全然笑わなくなった。
近くにいるのに、遠くて…
さみしかった。
もう大好きな母さんはどこにもいない気がした。
「またお酒呑んでるの?」
「うるさいわね!あっち行ってなさい。」
母さんは仕事じゃない時もお酒を飲むようになって、朝から晩まで飲み続けている日が増えた。
そんなある日…
その日も母さんは朝から、ずっと飲み続けていた。
「ねぇ!お客さん居ないんだから、今日は呑まないでよ!!」
母さんにお願いした。
もう、お酒は呑まないで…
って。
大好きな母さんに戻って欲しいから…
「あんたに関係ないでしょ!だいたい誰のせいでこんなに苦労してると思ってるのよ!」
その言葉を聞いた瞬間、カウンターの上に並ぶお酒が物凄く嫌な物に見えた。
“ガッシャーン!!”
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浅緋(プロフ) - コロロさん» 初めまして。コメントありがとうございます。これからも頑張ります。 (2015年12月6日 9時) (レス) id: 8150003928 (このIDを非表示/違反報告)
コロロ(プロフ) - 始めまして!すっごい面白いです!玉ちゃんはかんもく症も持ってるんですね…。実は私もかんもく症で学校で喋れないのでとても共感出来ます。これからも頑張ってください♪ (2015年12月6日 9時) (レス) id: 61a1863fd9 (このIDを非表示/違反報告)
浅緋(プロフ) - 璃子さん» コメントありがとうございます。みっくんの過去はもう少し後になりますが、必ず出ます。待っていて下さい。これからも頑張るので宜しくお願いします。 (2015年6月1日 0時) (レス) id: 09f5dc02af (このIDを非表示/違反報告)
璃子(プロフ) - いつも読んでます!みっくんの過去編みたいです!これからも頑張ってください。 (2015年6月1日 0時) (レス) id: 17fec4b2db (このIDを非表示/違反報告)
浅緋(プロフ) - あやのすけさん» コメントありがとうございます。裕太くんの過去楽しみにしてて下さい。パート2では、必ず書きます(о´∀`о) (2015年3月14日 1時) (レス) id: 09f5dc02af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:浅緋 | 作成日時:2015年2月8日 0時