ナナイロの笑顔

…【15】 ページ15

「裕太くん、健永くん、またね。」

「うん。」「はい。」
お昼は紫月特製のパスタを食べて、裕太も健永もニコニコ顔でおひさまハウスを後にした。

「あ、A…」

「車で待っててね。」
紫月に呼び止められて、2人を車に乗せて戻る。

「後で結果持って行くから。お兄さんも一緒にいてくれると助かる。」
あぁ、さっきの健永の心理テストね。

「うん、わかった。お兄ちゃんにも伝えておくね。」
紫月に落ち着く時間を伝えて、車に戻る。

「さあ、買い物して帰ろうね。」
車を走らせて、近くの大型スーパーに向かう。


「健永ー、どうだった？楽しかった？」
来た時と同じように後部座席に座る健永に問いかける。

「うん、楽しかった！」
さっきとは別人みたいな明るい顔。
紫月のおかげでだいぶ緊張もほぐれたみたい。

「そう、良かった。裕太は？いっぱい勉強できた？」

(うん。)
コクリと首を動かす裕太。
その表情が楽しかったって、言ってるね。


ほんの数分車を走らせると目的地に到着。

「俺、カート押すね！」
裕太の車いすを押す私を見て、健永はカートを取りに行った。

「健永、ありがと！さ、今日の晩ごはんは何にしようかなー…。」

「「ハンバーグ！！」」

「えっ！？」
二人同時に口を開くから、ビックリしちゃった。

「ふふふ…」
「へへ…」
当の本人たちも驚いてるね。

「じゃあ、今日の晩ごはんはハンバーグにしよう！」

ハンバーグを作るのはこれまた重労働だけど…。
みんなハンバーグ好きだし、この子たちにお願いされちゃ嫌だとは言えないよね。

必要な材料をカゴに入れながら、今日は渉が早く帰って来てくれることを切に願った…。


＊−＊−＊−＊−＊

「あーヤバイ！洗濯物ー！！」
家の前に車を止めて視界に入ったのは風に揺れる洗濯物。
お兄ちゃんに頼むの忘れてた…。

「裕太も健永も手、洗って、うがいしてきてね。」
二人にそう告げると買ってきた食材を急いで冷蔵庫にしまって、洗濯物を取り込む。


「虹色みたい…。」
リビングに並べられた色違いのカゴを見て健永が呟いた。

「でしょ？赤は宏光ので、オレンジは渉、ピンクは太輔、紫は俊哉、黄色は裕太、緑は高嗣。それから…」

「俺は青でしょ？」

「そう、正解！それぞれ色分けしてあるからね、わかりやすいでしょ？健永のは青いカゴに入れるから、自分で部屋に持って行ってね。」

この時、健永の本当の気持ちを気付いてあげられなかった…。

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