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【09】 ページ9

*Side:高嗣*

どーもー!二階堂高嗣でっす!

この前ハタチになったばかりのフリーター。

じゃなくて…
ダンス教室の講師やってます!

「俺、生姜焼き定食っ!」
目の前に座って、生姜焼き定食を注文したのは、俺の同居人。

相変わらず、健永とは同居してるよ。
その方が家賃安く済むでしょ?

「はいはい。ニカは?決まった?」

「じゃあ俺も一緒でいいや。」

「了解。」

ここは【かたつむり】っていう、近所の定食屋さん。

定食屋さんでもあるけど、俺の友達・勝利(ショウリ)の家でもある。

「しょーり、おじさんの具合どう?」

「そうじゃん!おじさん大丈夫なの!?」

「まぁ、大丈夫だよ。もうすぐ退院するって。」

勝利のお父さんが突然倒れたのは、少し前のこと。

それまで手伝い程度だった勝利がこうして店に出てるのは、おじさんが戻って来る場所を守るためだって言ってた。

「「良かったじゃん!」」

「またハモってる。全然変わらないね、そのハモリ。」

なぜか、初めて会った時から健永とは、よくハモる。
だからか、高校まではよく双子に間違われてた。

「「まぁね!」」
ほら、またハモった。
たぶんこれはもっと大人になっても変わらないな、きっと。

「高嗣と健永、また来てるの?」

「“また”って、さやねぇひどくない?」
さやねぇは勝利のお姉ちゃん。

おじさんが倒れてからは、さやねぇもここで働いてる。

「俺達、常連だよ。」
俺と健永は、ここでゴハンを食べることが多いからね。

「常連って…あんたたちのツケ、いくら溜まってると思う?」
げ…タダでゴハン食べてるのバレてる…。

「さぁ?」
だって、勝利がお金いらないって言うからさ…。

「まぁいいわ。太輔に免じて許してあげるよ。」
さやねぇは去年、太兄と結婚した。

「あれ?“義兄さん”と一緒じゃなかったの?」
ん?勝利、今なんて言った?

「一緒だよ。今、外で誰かと電話中。」
え?太兄来てんの?

「高嗣、今の聞いた?“義兄さん”だって。」

「うん、聞いた!」
勝利、太兄のこと“義兄さん”って呼んでんだ。
ちょー意外。

「ちょっと前まで、“ライオン丸”って呼んでたクセに。」

しかも勝利は太兄とさやねぇが結婚するのを最後まで反対してたし。

それが今では“義兄さん”だって。

「うるさいなー。姉貴と結婚したんだから、義兄さんでしょ?」

聞き慣れない言葉に、なんかゾワゾワする。

“家族”だから、それが当たり前?

うーん…なんかゾワゾワするよ。

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作者名:浅緋 | 作成日時:2017年1月28日 0時

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