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【16】 ページ16

*Side:裕太*

「裕太くん、今日もありがとうね。」

PM8:30

今日のバイトはおしまい。

「お疲れ様でした。」

オッコさんにそう挨拶をして、お店を出る。

今日は結構忙しかったから、少し疲れた…。

「ふぅ…疲れた。」
そんな言葉が自然と口をついた。

こんな時、自転車に乗る練習をしておけば良かったって、本気で思う…。

「あ、まただ…。」

“赤いイメージ”

朝からずっと“赤いイメージ”が浮かんで頭から離れない。

家に近付くにつれて、そのイメージはどんどん濃くなっていく…。

なんでだろう…?

*****

「ただいまー…。」
玄関を開けるといつもの倍くらいうるさかった。

蒼生と樹生が今日も騒いでる…。

「「ゆーた!おかえり!」」

玄関まで走って出てきて、またハモってる。

2人はホント…
いつも元気だね。

「ただいま。蒼生も樹生も、もう寝る時間じゃないの?」

「「まだ、ねむくない!」」

「でも寝なきゃダメでしょ?A先生に叱られるよ。」

ここ数年で気付いたこと。
Aは怒るとすごく怖い…。

「だってさ…」

「ミツにーちゃんがさ…」

え?ミツにーちゃん…?

「朝起きたら、超でっかいって!」

「ゆーたよりデカいんだぞって!」

「ちょっと待って。ミツにーちゃんって誰?」
僕の間違いじゃなければ…

「ゆーた知らないの?」
僕もよく知ってるあの人のこと…。

「食堂にいるよ。早く来てよ!」

「え?あ…ちょっと待って…。」

双子に手を引かれて、食堂に入る。

「裕太ー、元気だったか?」

「ミツ兄…?」

「なんだよ、その顔。」

「どうしているの?」

「いちゃ悪いか?」

「ううん、悪くない…。」

やっぱり“赤いイメージ”はミツ兄のこと?

でも、なんかちょっと違う…。

「裕太、おかえり。お風呂あいてるよ。」

「うん、すぐに入るね。」

「蒼生と樹生は、まだ起きてるの?早く寝なさい。」
ほら、早く寝ないと怒られるよ。

「ねぇ!ホントに朝起きたら、ゆーたより大きいの?」
蒼生は昔の健永みたい。

「そんなのうそに決まってんじゃん。」
樹生は高嗣に似てるかな。

「マジだって。でもデカいのは、ほんの一瞬だから早く起きないと見れないぞ。」

「「おやすみなさい!」」
バタバタと階段を上がる双子。

「はい、おやすみー。」
双子の後ろ姿に、ミツ兄はそう声を掛けた。

「ミツ兄、しばらくいるの?」

「あぁ、しばらくいるよ。」

ミツ兄じゃない赤いイメージ。

一体、なんのことだろう…?

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作者名:浅緋 | 作成日時:2017年1月28日 0時

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