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*Side:宏光*
俺、北山宏光。
26歳。
職業、児童指導員。
今は【森の家 あるかす】っていうペンションで働いてる。
【森の家 あるかす】は【虹の家】を作った七村修治さん(お父さん先生)と、その奥さんの桃子さん(桃子先生)が、【虹の家】を辞めた後に作ったペンション。
色々あって、高校卒業後に働いてた工場を辞めて、ここに来た。
ここに来て、もうすぐ5年。
俺の仕事をざっくり説明すると、社会に適応できない子供達をサポートして、社会に送り出すこと。
「あれー?ひろっぴ今日は泊まりじゃないの?」
なんでか俺は、ここにいる女の子たちからは“ひろっぴ”と呼ばれてる。
「ざんねーん。今日は帰る日です。」
ここに来た当初は住み込みで働いてたけど、今は近くにアパートを借りて、週に3回は泊まりの勤務、それ以外はこうして決まった時間に家に帰るようになった。
「はぁ?別に残念じゃないし。いない方が静かでいいよね?」
「そーだよ、早く帰りなよ。」
「お前ら、なに生意気なこと言ってんだよ?ちゃんと仕事しろよ。」
「はいはーい。」
「わかってまーす。」
うっわ、こいつら絶対にわかってない。
「「お疲れ様でしたー。」」
「へいへい、お疲れ様でした。」
俺は別に住み込みのままでも良かったんだけどさ、
“まだ若いんだから普通の生活をしなさい”
って、お父さん先生が急に言い出したんだよ。
そんなん言ったら、【虹の家】にいる翔馬くんやAは普通じゃないのかよ?
って、ツッコミたくなったのは内緒だけどね。
「あーみちゅだー!おーい、みちゅー!」
すっかり通い慣れた道を愛車(と言ってもマウンテンバイクだけど)で走っていると、少し離れたところから、俺の名前を呼ぶ小さな男の子。
「おー耕大。」
この子の名前は
俺の知ってる奴によく似てる。
「元気か?」
「うんっ!げんきー!パパもげんきだよ!ねっ、パパ。」
「だってよ、大雅。元気なのかよ?」
耕大は大雅の一人息子。
大雅をそのまま小っちゃくしたみたいなかんじ。
「もちろん、元気だぞ。」
俺がここに来た時、大雅は結婚してて既に耕大がいた。
最初から色々驚かされる奴だけど、俺とタメで5歳の子供がいるなんてねぇ…。
「この時間にここにいるってことは帰る日か?」
「あぁ、そうだけど。」
「
「はぁ?」
コイツ、一体なに言ってんだ?
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作者名:浅緋 | 作成日時:2017年1月28日 0時