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Episode:104 ページ8

不思議そうな顔してリビングに現れた優吾。

「あれ?樹、いなくね?」

樹を探してたみたい。

「部屋じゃないの?」

「いないから、てっきりここかと思った。」

「じゃあ、北斗の部屋じゃない?」

ここにもいないとなると、残るは北斗の部屋。

「ちょうど時間だし、見に行く?」

久しぶりだから、ゆっくり話でもしてるのかな?

なんて、思いながら北斗の部屋に行く。

「優吾、見て。」

ここにいるとは思ってたけど…

「狭くねぇの?てか、ぜってぇせめぇよ。」

まさか、ひとつのベッドで寝てるとは思わなかった。

北斗に遠慮して、小さくなって寝てる樹。

「これじゃ、北斗の体位変換出来ないな…。」

北斗の部屋に来た本当の目的は、“体位変換”のため。

「どうすんの?やばくね?」

こうなってたのは、結構想定外だけど…

「方法はあるから、大丈夫。優吾、ちょっと手伝って。」

「あぁ。」

クローゼットからクッションと枕を取り出す。

「北斗ー、ちょっとごめんね。」

体の下にクッションを挟む。

「こうすれば、直接ベッドに当たらないから。」

「なるほどね。って、こいつら全然起きねぇな。」

普通これだけ動かされたら、目覚めるよね…。

「2人とも眠剤飲んでるから、眠りが深いんじゃない?」

「まぁそうか…。」

北斗のカテーテルが抜けてないか確認して…

「大丈夫そう。それにしても…可愛い寝顔だね。」

寝顔は小さい時のまんま。

樹の安心しきった寝顔、久しぶりに見た。

「こんな顔してたら、起こすの可哀想だもんな。」

優吾も思わずそう言うくらい。

やっぱり、“二人一緒”がいいんだよね。

「続くようなら、またみんなで考えたらいいよ。」

「そうだな。」

「「おやすみ。」」

双子にそう声をかけて部屋を出る。

二人一緒なら、悪夢が来ても大丈夫だね…。

「次、何時?」

「え?」

「今日から2時間おきっしょ?」

「うん。次は1時かな…。」

北斗は自分では寝返りが打てない。

同じ体勢のまま寝てると、体の一部分だけに負担が掛かって、その部分が壊死する。

よく聞く、“床ずれ”とか“褥瘡(じょくそう)”になってしまう。

それを回避するために、時間を決めて、体位を変える必要がある。

「俺も手伝うよ。」

「優吾は学校あるから、次の日が休みの時だけでいいよ。」

優吾の気持ちは嬉しいけど、まだ大学生だし、負担はかけられない。

「あとはいいから、先に寝ろよ。」

早くこの“新しい生活”に慣れなきゃね。

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作者名:浅緋 | 作成日時:2021年10月2日 22時

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