Case97 ページ16
降谷side
「どうしたんですかね、Aちゃん」
「え?」
ポアロのカウンターで小さく声をかけてきた梓さんは、チラリとテーブルを拭くAを見た。
「今日、なんだか元気ないみたいだし…」
「そう、ですね…」
おそらく、
この前の波土禄道の一件だろう。
(ベルモットめ…)
梓さんに化けて僕に着いてきたのは、蘭さんやコナンくん、そして、六条Aに何かをするのではないか、という僕への牽制。
勘のいい彼女のことだ。
梓さんは、梓さんでないことに気が付いた。
そして、
(自分の、母親ではないかと疑っている)
断言はできないが、
十中八九間違いではないはずだ。
しかし、そこに至る証拠が見つからない。
(大きな手がかりは、DNA……か……)
そうだ、それだ。
なぜ今までこんな初歩的なことに気づかなかったんだ。
(ベルモットのDNAなら簡単に手に入る)
毎度車に残る彼女の髪。
掃除するこちらの身になってほしいが、今回ばかりは許そうではないか。
(Aさんの髪は、今日、自宅に行った時にでも)
彼女と、ベルモットが
本当の親子だとしたのなら、
これは彼女に伝えるべきなのか。
(闇の子供だと知った彼女は、どう、思うんだろうか)
母親を知った彼女は、
意地でも母親を探すだろう。
そうなれば、彼女の身に何があってもおかしくはない。
(ジンに知られれば、それこそ……)
ならば、伝えないことがこの子の安全と幸せなのかもしれない。
「今日の賄いはオムライスにしようかしら……そしたら、少しは元気になりますかね」
「えぇ、きっと。
デザートも出してあげましょう!僕が作ります」
「あ!Aちゃんね、安室さんの半熟ケーキ大絶賛してましたよ!!」
「そうなんですか!じゃあ、腕によりをかけなければ、ですね」
彼女の笑顔を守るためならなんだってしよう。
(彼女は、この国にいる、守るべき人)
目を細めて笑うその姿は、太陽のように温かい。
そして、
その小さな手は、割れ物を扱うように優しい。
まるで、女神のようだ。
(ハハッ………女神、か………)
なんてしっくりくるのだろう。
家に帰る温かさを、
人のために動く嬉しさを、
誰かを守りたいと思う強い気持ちを、
君は、教えてくれた。
「Aさん」
君は、
「お昼にしましょう!」
どうか、
笑顔でいてくれ。
6164人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユナ@前垢消えた(プロフ) - 最高すぎて一気読みしちゃったでし、、、、、更新待ってます!!!!!!! (6月25日 8時) (レス) @page26 id: 0fb864c8c1 (このIDを非表示/違反報告)
ぴかそ - 初めまして!面白くて2日で一気読みしちゃいました!!私のスマホ終わりって表示されてますけど嘘ですよね!?続きが気になりすぎてハゲそうです、、、!いつか続き見れたら嬉しいなぁ〜、、、!! (2023年4月11日 16時) (レス) @page26 id: 515339af0b (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - 続きが気になります!体調を崩さずに! (2022年12月23日 0時) (レス) id: 8331d59edc (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 続きが気になり過ぎます!!続きが更新される日を心待ちにしています!! (2022年7月16日 3時) (レス) @page26 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - ああああもう最高です。。。😭安室さんかっこいい。。。 (2022年4月30日 8時) (レス) @page26 id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ヤギとポン酢 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時:2018年9月7日 17時