【名探偵コナン】それ、疲れません？3【降谷零】

Case96　裏切りのステージ2 ページ15

「ちょっと待ってろ！」

『え、あ、しん………コナンくっ』





「行ってはダメよ」




踏み出そうとした私を制したのは、

梓さん。


「エンジェルもよ」


そういって視線を蘭ちゃんに向ける。


『あ、ずさ……さん……』

「………なぁに？Aちゃん」


やっぱり、変だ。


(笑い方といい、しぐさといい、)


全くの別人だ。



『梓さん、今日、シフトじゃなかったですか』

「あぁ！それがね、マスターに今日のことを話したら行っておいでって！

優しい人よね！」

『そう、なんですか』



嘘だ。

マスターは今、海外旅行中でポアロにはいない。


(やっぱり、別人だ)


じゃあ一体誰？


新一は知っている素振りがあったけど、事件についてるし……。



「………My darling child…」

『…………え？』



彼女は、私の手を取り、微笑んだ。

それは、

梓さんとは全く違う、誰かのもの。



「どうか貴方は、美しく、清らかなままで」



スルリと抜けていく彼女の手は、

私と同じように、


真っ白だった。




___
__
_


気がつけば、事件は真相に向かい、

犯人は逮捕へと導かれた。



(My darling child)


そんな中で、私の脳内を駆け回るのはさっきの言葉。


(………愛しい子…)


いや、まさか、そんな。


もし、私が想像していることが事実だとしたら、

彼女は、本当に………。



「いずれ、また……」


沖矢さんにそう告げた安室さんに続こうとする梓さん。

その遠ざかる背中に、

震えながらも、

一歩前へ、踏み出した。





『おかあ、さ、ん……』




振り絞って出た言葉は、あまりにも震えていて、

けど、

その言葉で、彼女は歩みを止めた。



「え、ちょ、A！？」



梓さんがここにいるのはおかしい。

今日はシフトなんです。

マスターは海外旅行中でいません。

梓さんは、そんな笑い方をしない。



My darling childの、意味は……？？



聞きたいことが山のようにあるはずなのに、

出てくるのは、言葉になれなかった空気だけ。



彼女はこちらを見て、少し笑うと、



「やーねー！までお姉さんよー？私！」

『え、あ、』


「じゅあね、Aちゃん」


そして彼女は、また、



笑う。






きっと、

いや、

絶対に、



梓さんだった彼女は、

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