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Case85 ページ4

『……………あの、』

「ん?」







『ものっっっっっっすごく、やりづらいです…』



壁に体を預け、

ニコニコとこちらを見つめる降谷さんの視線が私の側頭部に突き刺さる。




「君はいいお嫁さんになるね」

『お嫁っ………』




イケメンにそんなこといわれてみろ。

お世辞だってわかってても照れるから。




『……どうぞ』

「ありがとう」




包んだお弁当を渡せば、降谷さんはまた優しくて笑う。




「さて…そろそろ行くよ。
湿布とお弁当、ありがとう」

『…いえ、これぐらい………』



ジャケットに袖を通した降谷さんは、私の頭を撫でて玄関に向かう。

こんな夜にもお仕事なんて、相当忙しいはずだ。

なのに疲れの色を見せないこの人はもしかして人間やめてるのかもしれない。



「あ、そうそう。
すごく今さらなんだけどね?」

『はい?』

「こんな夜に、ましてや男を家に簡単に上げちゃダメだよ?」

『ものすごく今さらですね』



説得力の欠片もない。

まぁ……この米花町は危険がいっぱいだし、気を付けなければならないのは百も承知だ。



『…降谷さんだから……大丈夫かなって』



思ったままのことを口にすれば、

彼は瞳を丸くしたのちに、額に手を当てて大きな息を吐いた。



「…君はそのうち、悪い男に引っかかるよ」

『降谷さんは悪い男なんですか?』



冗談混じりにそう聞けば、

彼はフッ…と目を細める。



「……そうかもしれないね」



私の手首を優しく掴んで、引き寄せて、

私の肩に頭を乗せた。



「……いや、そうだよ。僕は悪い男だ」

『………お疲れですか?』

「……………少しだけ」



スリッ……と頬を寄せる降谷さんは小さく息を吐いた。

そりゃあ疲れるだろう。

水族館の一件といい、後処理といい、

家に帰れているのだろうか。



(この家……警察庁に近い、よな……)



さすがにこれはいけないことか。

いやでも、

降谷さんの疲れが少しでもとれるなら、

いや、でも……



「……どうかした?」

『あの、降谷さん………ただの提案、なんですけど、』

「提案?」









『私の家、使います?』

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ユナ@前垢消えた(プロフ) - 最高すぎて一気読みしちゃったでし、、、、、更新待ってます!!!!!!! (6月25日 8時) (レス) @page26 id: 0fb864c8c1 (このIDを非表示/違反報告)
ぴかそ - 初めまして!面白くて2日で一気読みしちゃいました!!私のスマホ終わりって表示されてますけど嘘ですよね!?続きが気になりすぎてハゲそうです、、、!いつか続き見れたら嬉しいなぁ〜、、、!! (2023年4月11日 16時) (レス) @page26 id: 515339af0b (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - 続きが気になります!体調を崩さずに! (2022年12月23日 0時) (レス) id: 8331d59edc (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 続きが気になり過ぎます!!続きが更新される日を心待ちにしています!! (2022年7月16日 3時) (レス) @page26 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - ああああもう最高です。。。😭安室さんかっこいい。。。 (2022年4月30日 8時) (レス) @page26 id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヤギとポン酢 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/  
作成日時:2018年9月7日 17時

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