友情の先にあったもの。(ymin)

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YM side


まだみんな楽しく飲んでるところ申し訳無いけど、お先に帰ることを伝えさせてもらう。


「ほんとにごめんね。いのおちゃん飲みすぎてトイレでダウンしてたから……心配だから私付き添って先に帰るね」


先程の男の人とは目も合わせないように気をつけて、
みんなにバイバイと見送られ、そそくさといのおちゃんのところへ帰る。



「ごめんね、お待たせ。どう？出れそう？」


声をかけてみてもいのおちゃんは鏡の中の自分の口元を見つめたまま。
メイクも直していない。


夜だからどうせ人の顔なんてよく見ないだろうし、帰るだけだしな。

放心したままのいのおちゃんのメイクを軽くなおしてあげる。

剥がれかけたつけまつげは外してゴミ箱へ。

ウォータープルーフのマスカラだったのかそこまでマスカラは落ちていないのでこのままでいっか。

つけまつげが付いていたラインをぼかすように濃いめのアイシャドウを入れて、涙の跡を消すためにパウダーを軽くはたく。


「はい。おしまい。私お家に一緒に帰ろ？」

「うん。りょうちゃんありがと」


……りょうちゃん呼び。相当弱ってるなあ。

いのおちゃんと指を絡ませて手を繋ぎ私家まで連れて行く。

その間ずっといのおちゃんは口を噤んだままで。

金曜日の夜だから何せ人が多い。
男の人がすぐ横を通ったりすると、時折不安そうに繋ぐ手にギュッと力がはいる。

私もギュッと力を入れて握り返していのおちゃんへ大丈夫だよ私が居るよと気持ちを込める。

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