199話 ページ7
夕方。
Aの背には、もう一つ、翼が増えていた。
ヒビを含めて、三つ。翼が、増えていく。
イバラはあの後、質問とは関係なしに、緩く閉じかけていた一日目の翼を上からなぞった。
曰く、かさぶたの茶色より、赤の方が映えて綺麗だと言うのだ。
めちゃくちゃだ。
……。痛い。
もう、それしかない。
考えられない。思考が、乱れる…。
その時、Aの足に簪の木の温もりが伝わってきた。
…あ。簪…。
ちゃんと、ある、良かった…。
良かった。
唯一の千空達との繋がり、Aが楽しかった時を証明するものである。
失くす訳にはいかなかった。
「Aちゃん。きたよー。待ったー？」
軽薄そうな、男の声が聞こえた。
…この声は…。
「…また来たの？」
「えー。悲しいじゃん。せっかく美味しいもの一緒に食べようと思って持ってきたのに。」
そう言うと、モズはAの前に色とりどりの果物を置いた。
目の前に、見覚えのあるようなないような果物が広がる。
あれは…さくらんぼ？
「ん？これ、気になんの？甘酸っぱくて美味いよ。ほら。」
Aの口の前にさくらんぼが差し出される。
……え。まあ、手は使えないけど。
……え。
んー、でも、何か食べないとこの先持たない…。
有難く、頂こう。
Aは体勢を崩し、モズの手へ口を近付けると、食べた。
…お！食べた。
「…ごくっ。ありがとう、ございます。」
「あれ？Aちゃん、お礼言えんの？」
あ、口調。
「それくらい、言えるわ。」
「あっ、そう？じゃあさ、Aちゃん話せんの分かったし、ちょっと聞きたいことがあるんだけど…。」
「あれ？これ…。」
そう言うとモズは一本の簪を拾った。
それは、Aがゲンから貰ったものだ。
Aは見つからないように足の間に隠していたが、体勢を変えた際に出てきたのだろう。
……!!
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 139人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Jane Doe(プロフ) - メウさん！そう！作画めっちゃ良いですよね！3期が楽しみすぎる！こちらこそ！お読み頂き、ありがとうございます(^^) (2023年3月31日 8時) (
レス) id: 7151efa53f (このIDを非表示/違反報告)
メウ(゜ロ゜) - 激しく同意です。Dr.STONEのアニメって作画もいいし、めっちゃいいですよね。あと、更新ありがとうございます!! (2023年3月31日 7時) (レス) @page46 id: c71eec4ba7 (このIDを非表示/違反報告)
Jane Doe(プロフ) - 呟きです。2期OPのゲン、めっちゃ良いですよね。 (2023年3月31日 1時) (レス) id: 7151efa53f (このIDを非表示/違反報告)
Jane Doe(プロフ) - 神夜さん！読んでいただけているのが嬉しいです！分かりますー。私ももっとドクターストーンの小説読み漁りたい…！ぜひ最後までお付き合い下さい！ (2023年3月31日 1時) (レス) id: 7151efa53f (このIDを非表示/違反報告)
Jane Doe(プロフ) - たくあんさん！コメントありがとうございます！神とは！嬉しいですね。その言葉をかけてくれるたくあんさんのが神ですよ！ (2023年3月31日 1時) (レス) id: 7151efa53f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Jane Doe | 作成日時：2023年3月24日 0時
