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救世主 ページ20

男は、じっと二人を見ていた。
目深に被った帽子からその表情は窺い知れず、警戒しているのか、戸惑っているのか、はたまた――

沈黙を破ったのは、薮だった。

「a……oh…」

咳払いと英語風の呟きに、伊野尾はまさか、と思った。
――おいおい、マジでやるつもり?


「We're Japanese. Help!Please!」


本人至って大真面目。やりきった感全開。
いや、大丈夫か?これ


男の顔を見た。
表情は、先程と変わらないように見える。
何を考えているのだろうか。


その先の言葉をただじっと待つ。
ほんの数十秒の沈黙が、永遠のものに感じられた。

「ドウゾ ノッテクダサイ」


「「えっ…」」


い、いまなんて…


呆気に取られた二人は、思わず顔を見合わせた。
そして更なるとどめの一撃。

「ワタシノ ツマハ ニホンジンデス」

そう言うと男は帽子を脱ぎ、照れくさそうに笑って見せた。

思わずつられ笑い。


――圭人、なんとかなりそうだ。

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作者名:ぽよぽよ | 作成日時:2017年9月8日 18時

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