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退屈な入学式の間も、私の頭の中は金髪の彼のことでいっぱいだった。
だけどあの日以来彼を見かけることはなくて、新しい気持ちで始めたはずの高校生活も何も起きないまま6月になろうとしていた。
でも1つだけ変わったことがある。
『A?』
入学間もない頃、私含めクラスメイトがこれからの新しい生活にソワソワしている中で誰かに名前を呼ばれた。
知り合いはいないはずなのに、と不思議に思いながら振り返ると目の前には大きな目と綺麗な鼻筋、まさに“美人”という単語がぴったり当てはまるような女の子が立っていた。
この学校に私の名前を知っている人がいるというだけでびっくりだったのに、その人が見覚えのない超絶美人でもう私の頭の中は大混乱だった。
『ソアだよ!覚えてない?小学校の時…』
ソア。その名前には聞き覚えがある。
小学校卒業とともに親の仕事の都合で遠くに引っ越してしまった親友の名前。
「え、ソア!?」
『うん!A久しぶり〜!すごい怪訝そうに見てくるから忘れられたかと思ったよ笑』
「久しぶりだねㅠこんなところで再開できると思わなくて…それにめっちゃ美人になってるし!」
ソアとは小1の時仲良くなって以来、クラスが離れても6年間毎日一緒に過ごしていた。
いつも私の話を真剣に聞いてくれて、くだらないことでたくさん笑いあって、おばあちゃんになっても仲良しでいようねと約束もした。
昔からかわいくてモテる子だったけどこんなに美人になってるとは思わなかったな。
それから私たちは一緒にいることが増えた。
私もソアも、元々明るい性格で友達作りも苦手ではなかったからたくさん友達ができた。
ソアには中学からの友達も多いようで、特にその中でもジフンくんという隣のクラスの男の子と話してることが多かった。
私も何回か話したことがあるけどちょっぴり不愛想なだけで悪い人ではなさそう。
そしてソアは多分、ジフンくんのことが好き。
女の子は恋をするとかわいくなる、なんて言葉を聞いたことがあるけどソアを見てるとその通りだなと思う。
私も恋したいな、とも思う。
そんなことを考える度に頭に浮かぶのは金髪の彼の後ろ姿で、顔も名前も知らない人に恋するとか、頭おかしいにも程がある。
これはきっと恋とは別の感情。
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作者名:ぽん | 作成日時:2021年1月13日 2時