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私のことを知る人がいない場所に行きたくて、高校は電車で1時間かかる少し遠いところに進学した。
別にいじめられてたわけじゃないし、仲のいい子だってたくさんいた。
自分で言うのもあれだけど、クラスでは一応盛り上げ役として結構人気だったと思う。
友達といるのはすごく楽しかったけど毎日同じように過ぎていく日々がつまらなかった。
「へえ、こんなところに桜があるんだ」
駅から学校までの下り坂で見つけた大きな桜の木。
でも4月も2週目にな入るとさすがに散っているものがほとんどだった。
この木だって、あと3日もしたら全部散っちゃいそう。
写真を撮ることが趣味な私は少しぶかぶかなブレザーのポケットからスマホを取り出して、レンズに収めようと必死にアングルを調整する。
カシャッ
その瞬間に真横をすごいスピードで駆け下りていった自転車にびっくりしてついシャッターを押してしまった。
「危ないな…間違えてシャッター押しちゃったし。」
撮れた写真を確認すると、桜は案の定ブレブレだった。
そしてその横には自転車に乗った金髪の少年が、嫌味かと思うくらいしっかりと写っている。
でも、太陽に照らされてきらきらひかるその金髪がとても綺麗で、写真の彼から目を離すことができなかった。
自転車ってことは近くに住んでるのかな。
何年生なんだろう。
また、会えるかな。
この出会いが運命を変えることになるとは、今の私には知る由もなかった。
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作者名:ぽん | 作成日時:2021年1月13日 2時