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「お疲れ様です、Aさん」
「…おーおー。おつかれ……ジェイド」
嫌なタイミングで現れるなぁ、コイツ。
「どうされました?」
「別にー?」
そそくさとフロアに出ようとすると、止められた。
なんでも、今日は1人厨房にお休みが出たようで、さっき交代した子が厨房から抜けてしまったため、少し回転が悪くなっているらしい。
「すみませんが、皿洗いにまわってくれませんか?」
「…わかった」
せっかく着替えたのにな。
冬に冷たい水を触るのは嫌だ。それを改めて体験したのは、合宿での話。あそこは風呂以外にお湯が出る設備が整ってないから指が凍りそうなのだ。
けど、渋々了解した。
それから僕は、ひたすら皿洗いに徹した。ひたすら皿洗いする機械だった。指の感覚が麻痺するかと思ったが、ここはちゃんとお湯が出た。めちゃくちゃありがたかった。
閉店時間まできっちり働いた。皿は割ってないし、洗い残しもない。我ながら完璧な労働だった。
「よし終わり!」
1人でドヤ顔をキメて、帰り支度をする。そんな時、アズールに呼ばれた。デジャヴか?と思ったが、従業員全員が集められているみたいだ。
「総合文化祭で、モストロ・ラウンジはコロシアムでのドリンク販売を計画しています。今からそのシフトを決めます」
商機を見つけた時の行動力は凄まじいな。こりゃあ、ボドゲ部どころじゃないだろう。
しかし、僕はそんなことをする気が無い。ここまでバイトしてたら、いろんな所に行けなくなる。だから結局最後までシフトには入らなかった。
それよりも僕は、もっと別のことを考えていた。
ここ最近、ずっとバイトをしていて気付いたことがある。VIPルームに通される客がいない。
…以前のアズールなら、あり得ない。
やっぱり契約書がお亡くなりになったのは本当で、さらには、新たに契約している人もいない。となるとやはり何かあったのだろう。僕が、帰ってくる前に。
シフトの話し合いが終わったタイミングを見計らって、3人に話しかける。
「なぁ、何があったか教えてほしいんだけど」
「…と言いますと?」
「アズール、VIPルームに通しては?」
こんなときは、察しがいいから助かる。フロイドは「なぁに〜?」と言っているが、その心中は読めない。僕はそのままVIPルームに通された。
「なんでしょう?」
「契約書が無くなったのは前に聞いた。けど、その前後で何があったか知りたい」
「……証拠は?」
「…僕のユニーク魔法で暴いてもいいんだよ?」
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しあ(プロフ) - 雪華さん» コメントありがとうございます。最近ですと呪術廻戦ですかね。 (2021年3月5日 21時) (レス) id: 46cd819be0 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - 高評価しました!知ってるアニメは何ですか? (2021年3月5日 21時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しあ | 作成日時:2021年2月28日 20時