鈍色の後悔 (ページ3)

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血色の懺悔 2 ページ3

私の覚えている古い記憶

薄暗い路地にこもる埃の匂い
自分達を見下す人間の瞳
時折いなくなる仲間達

これだけ
でも、私はあの頃が好きだった
みんなは幼い私をそれでも育ててくれたし
頑張って人を殺して食料を得れば、褒めてくれた
兄様も姉様も、優しくて
幸せ、だった

あの頃から私は馬鹿で
それでもあの頃は、ただ兄様のように、姉様のように
美しく、強い人になろう
それだけの想いを抱えて
ひたすらに駆ければよかったから
今よりも、ましだったんじゃないかな

それが壊れたのは、突然で
仲間が、よく分からない黒服の男に殺されて
みんな、みんな
動かなくなって

私は、姉様は
「仲間の仇を取る」
という、私達唯一の掟を果たそうとする兄様を逃がすために
その黒服達と戦った

私は必死で
路地を満たす埃の匂いが
血と煙に染まって
服に、髪に、血が跳ねて重くなっても
姉様と生きる為に
強くもない異能を振りかざし続けた

薄っすらと、本当に薄く夜が明らむ頃には

男達の纏っていた、煙っぽい匂いは
きつい血の色に変わっていて
動くもののいなくなったその場を見ながら

私は、気を失うように眠りに着いた

私は兄様が無事ならよかった

姉様が、怪我をしていなければよかった

知らなかったんだ、兄様が"あの人"と出会っていたことも
それが、この先の運命さえ

いとも簡単に変えてしまう事も、何も

知らずに、眠っていたのだ