回想 5 ページ7
由々しい
これはとっても由々しい事態だ……
探偵社の事務仕事を黙々と手伝いながら、私は心の中で頭を抱えた
「やぁAちゃん、どうしたんだい?なんだか元気が無いようだけれども。」
うぐ、この人やっぱり目ざとい
「う〜んとね。昨日私服のトップスを探しに言ったんですよ。黒のスカートに合うものを。」
「見つからなかったのかい?」
恐らく、私の眉間には深い皺が出来ているだろうな
「見つかったんです…見つかったんですよ?」
太宰さんは不思議そうな表情で微笑んでいる
あぁ、この人くらいなんでも似合えば苦労しないのに
「私、縮め…!」
「え、ちょ?!」
ダンッ、と机に手を突き立ち上がる
「なんなんだっ!?可愛い服はサイズが合わない!サイズの合う服は少ない上にスカートにあわない!!」
空中で拳を握り、なんとも言えないもどかしさを表す
「この世界は高身長に優しくないっ!いや、むしろ私の身長が世界に優しくない!!」
「知ってますよ?高身長な上に体格いいから合う服少ないなんて!?でもさぁ?でもさあ!!」
「五軒巡って全滅はひどいでしょ?!……はぁ、はぁ。」
すぅ、と大きく息を吸う
「私のなんて縮んじまぁええ!!」
「ぅおう。えっと、取り敢えず落ち着こうね?ね?」
ぜぇぜぇと息をする
太宰さんに勧められて一先ず席に着いた
「じゃ、じゃあこうしないかい?」
ん?
「君と同じような身長の女の人の知り合いを探して。その人に衣装を探す手伝いをして貰うんだよ!どうだい?」
おぉ!
「いいですね!それ!流石太宰です!」
思わず手を取ってブンブン振り回してしまったけど、許してくれる、よね?
「思い立ったら吉日!では、行ってまいります!」
地面を全力で蹴る
今なら自己ベストも軽く超えられるんじゃないかってくらい、体が軽かった
「これ、嫌な予感するな。国木田君に怒られるかも…」
「それは、自業自得では?」
嵐の去った探偵社では、そんな会話がされていたのだが……
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作者名:木霊 | 作成日時:2018年9月16日 18時