回想 3 ページ5
「ねぇ敦君。この地図見方分かる?」
ナオミさんに教えてもらったという店に向かう途中、Aちゃんが僕に地図を見せた
手書きであろうその地図は、確かに道は分かりやすく描いていたのだが…店の特徴が少ない
同じような店の並ぶ都会で、この特徴の少なさで店を見つけるのは難しそうな気がした
「あ、この青い屋根っていうのは?」
「ん?あ、いいね。やってみるよ。」
Aちゃんは、近くにあった電柱にもたれかかると、すぅ、と切れ長の目を薄く閉じた
その瞬間、彼女を包む空間が変わる
言葉にし難い不自然さで、風が静かに通っていった
「見つけた。」
目を閉じたまま、Aちゃんが指を指して歩き出す
周りから見ると危険極まりないし、実際僕も最初に見たときは驚いたのだが。Aちゃんの異能力を知った今では、落ち着いて付いていけるから面白い
「ここ」
静かに目を開くAちゃんの前に
目的の店があった
彼女の異能力は上空から見たように視点を変えるというもの
戦闘系でこそないが、空間把握など補助ではかなり活躍できる。僕も助けてもらった事があるからよくわかる。
というか、僕今日全然役に立ててない……
とほほ、と思いながら、悩ましげに服を選ぶAちゃんの背中を見ていた
そして、せめて荷物持ち位はしよう、そう決めた
「ねぇ敦君。これなんかどうかな?」
薄い青のグラデーションになったフレアスカートを持ちながら、Aちゃんが此方に近づいてくる
「うーん、似合ってはいるんだけど…もうちょいはっきりした色の方が似合うと思うな。これなんかどうかな?」
僕が差し出したのは黒のロングスカート、脚の長いAちゃんがはくと少し丈が短くなるが、それが逆に脚を綺麗に見せていた
Aちゃんは、んん。と唸りながら二つのスカートを見比べ
「そうだね!敦君のスカートにするよ。」
そう宣言し、るんるんと歌いそうな勢いでレジに支払いに行った
「いやー、ありがと敦君!やっぱり一緒に来てくれてよかった。お礼にうずまきで何か奢るよ。いこっ!」
満足そうに微笑むAちゃんを見て
偶には鏡花ちゃんとかとも買い物に出掛けようかな
ふと、そう思った
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作者名:木霊 | 作成日時:2018年9月16日 18時