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回想 1 ページ3

敦side
探偵社には、ナオミさんともう一人、学生でありながら探偵社の手伝いをしている少女がいる

「…たっだいま〜、帰りました〜」
タッタと軽快な足取りで探偵社に駆け込んで来た少女は、明るい声を響き渡らせた
「5分24秒。よし!自己ベスト!」
手に持っていたストップウォッチを見てガッツポーズをしながら、その少女、Aちゃんはこちらに駆け寄って来た
本当に彼女は、学校帰りなのに元気だなー

「やっほー敦君!」
「こんにちは、Aちゃん。」

僕と余り変わらない身長のAちゃんに挨拶をすると、その後ろに黒いオーラを纏った影が寄るのが見えた
「?どうかしー」
「廊下を走るな!敦の仕事の邪魔をするな!何度言ったら分かるんだ、お前は!」
バシィと、気持ちのいい音が鳴る

うわぁ、今回も痛そうだなぁ

「いったぁ…何するのさ、兄さん。」
涙目になりながらAちゃんは恨めしそうに国木田さんを見る
「そんな風に男勝りな行動をとるから、女らしく思われないんだぞ。『王子』」
「ぐっ……」
国木田さん、それ留め刺してる

撃沈したAちゃんは、蹲りぶつぶつと何かを呟いていた

王子、というのはAちゃんの学校でのあだ名だと聞いた
入学して2週間程経った頃、彼女にいる学校に強盗が入った
その強盗は、刃物を振り回しながら金を寄越せと迫ったらしい

そこで、Aちゃんが動いた
大声で叫びまくる強盗に近付いた彼女は
回し蹴りで顎に脚を入れ、よろめいた所で刃物を持った手を掴み捻る
そのまま強盗の脚を払って倒したそうだ
うつ伏せにした強盗に、彼女はこう言い放った

「自分より弱い人間を脅すような人間に。全ての人が屈すると思わないで。」

この一連の流れは学校の武勇伝となり、Aちゃんは尊敬を込めて王子と呼ばれるようになった
と、同じクラスに通うナオミさんが、嬉々として語ってくれた

「そんなに私は女子力がないかな?いやたしかに他の女の子の方が可愛いけど…私だってちょっとくらいは…」

本人は自覚していないが

不意に、ガバァっとAちゃんが顔を上げた

「敦君!」
「え?」

「協力して欲しい事がある。」

決意を固めた目をしたAちゃんに

僕は自分の本能が警告を告げるのを聞いた

回想 2→←回想の始まり



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作者名:木霊 | 作成日時:2018年9月16日 18時

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