空想メモリアル (ページ16)

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回想 14 ページ16

Aside
握って居た携帯が震えたのが、カーディガン越しでも分かった
返信は来ると思って居たけど、予想より早かったせいで思わずビクッとしてしまった
そっと画面を見る
そこには、出来るだけ詳しく状況を教えてくれ
と言う内容が書かれていた
それを確認すると、もう一度目を閉じる

集められた客達はだいぶん落ち着いたようで、騒いでいる様子はない
人質も、一旦解放されていた。それでも犯人の一番近くには居たが
犯人は、警察と連絡を取っているのか携帯に何かを話している、苛立ちは僅かに収まったように見えた

異能で見えた状況を、すぐに兄に送る

さっき見た様子からして、犯人の目的は金か何かだろう
私達を解放する代わりに金を寄越せと警察に迫っている。と言ったところか
何を言っているのかを聞き取ろうとして、掃除用具入れの近くからドアに移動しようとした時
また携帯が微かに震えた

その振動に私はかなり驚き
思わず動かした手が近くにあったモップに触れた
カタンッ
倒れかけたモップが音を立てる

しまった
やばい、これはかなり不味い

異能で観ると、やはり犯人の一人が音に気づいてこっちに来て居た

あぁああ！！何やってんの私っ！
どうしよう？！

犯人がトイレを覗き込む
「ー誰かいるのか？」
銃を向けながらこちらににじり寄ってくる
体格からして、恐らく入り口にいた方だろう
狭い空間の中で、物音を立てないように体勢を変える
最悪、近づいた瞬間に仕留めなければ

じりじりと神経が昂ぶる
背筋に冷や汗が流れた

が、犯人は中を一瞥すると、すぐに出て行ってしまった
足音から、隣の男子トイレに行ったらしい
声からして、男性だったし入りにくかったのかもしれない

はあぁ、と張り詰めていた力を抜く
それから、そっと倒れかけたモップを直した

こんな時に直さなくても……と思われるかもしれないが、こう言う性格なので、仕方ないよ

深呼吸を何度かして一先ず落ち着くと、私はもう一度携帯に目を向けた