回想 9 ページ11
翌日、探偵社の前でぼんやりと空を見ているAちゃんを見つけた
「Aちゃん、どうかしたの?」
「あ、敦くん。今日兄さんと買い物に行く予定なんだ。だから待ってるんだよ。」
「そっか、服、似合ってるね!」
彼女は薄い色のカーディガンに黒のロングスカート、それに白いトップスを合わせていた
足元は水色のスニーカーだ
落ち着いた雰囲気だが、可愛らしくて本当によく似合っていた
「良かった!そう言ってくれると嬉しいよ。さっき鏡花ちゃんにも褒められちゃったしね。」
鏡花ちゃんもAちゃんとはよく一緒に居た
年が近いので、本当の姉妹のように見える程仲が良い
少しだけ雑談交じりに会話をしていると、探偵社から人が出てくるのが見えた
「…A!ここに居たか。」
「兄さん。どうかしたの?」
慌てた様子の国木田さんに、Aちゃんか怪訝そうに眉を寄せる
「いや、あのな、今日の買い物なんだがな…」
「先日から取り掛かっている仕事に急に動きが出てな、それを始末せねばならんのだ。だから又別の日にしてもらっても構わんか?」
言いにくそうにどもりながら国木田さんはそう説明した
「…そう。仕事なら仕方ないね!気にしないで兄さん。」
「すまんな。」
ぽんっと国木田さんはAちゃんの頭に手を置く
「いいよ、全然。じゃあ私は買い物に行くね。お仕事頑張って!兄さん、敦君。」
にこっと笑ってAちゃんはその場から立ち去った
それを気まずそうに見ていた国木田さんと共に、探偵社に戻る
でも、少しだけ心配だ
立ち去ったAちゃんは
今にも泣きそうな表情で、唇を噛み締めていたのだから
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作者名:木霊 | 作成日時:2018年9月16日 18時