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「A、酒は足りてるか?」
「あ、いただくわ…っとと…」
落ち込むAに気を効かせたセルヴェが酒を注ぐが、彼も相当酔っているのか手元がブレ、グラスから少し酒が零れAの手を濡らしてしまった。
「あぁ、すまない。これを使うと良い……
では、今夜あたり彼を誘ってみれば良いのではないか?」
「ありがとう。そうねぇ、それはいいかもしれない…
あ、でも…」
セルヴェから手渡されたナフキンで溢れた酒を拭きながら、これが正夢になるならなんて素敵な事だろうかと考えるが、Aはふと思い立って、首元から服の中を確認する。
「彼、ピンクのフリフリは好きかしら?」
どうやら今着用しているモノは、Aにとって少し可愛らしすぎるデザインだったようだ。
「俺は紐のが好きだなぁ。ほら、横からこう…シュッて引っ張るのが良いんだよ。
Aも紐にしたらどうだ?」
ジェスチャー付きで自分の好みを語るカヴィンが、今度は腸詰めのボイルに手を伸ばしたAにそれを渡しながらニヤついた顔で薦めてきた。
「私はイライの好みが知りたいの!カヴィンの趣味なんて聞いてないわよ!ナワーブもなんか言ってあげて!」
「まぁ、Aこれでも食って落ち着けって。お前はどう思う?」
ナワーブがAの皿にカナッペを置いて隣の席に意見を求める。
「本人を目の前にしてする会話ではないと思う…」
話題を振られたイライは何故こうなっているのか頭を悩ませていた。
久し振りに男だけの晩酌をしようと提案してきたカヴィンが、男連中を食堂に集め、酒盛りを始めた。
最初はごく普通の会話をしていたが、数本のボトルを空ける頃には、皆いい感じに酔いが回り、酒の席での定番、異性の話へと変わっていったのだ。
ここへ来る前の恋人はこんな容姿だった、好きなタイプは、初体験は…と、徐々に深い話に、
夜も刻々とふけるにつれ、空けたボトルが数本だったのが、数十本と数を増やし、床にまで転がる始末。
そして、皆アルコールが入り陽気になっているところへ、今の今までいましたよと言わんばかりにしれっと輪の中に入り、酒につまみにどんどん手を出して、猥談の会話に参加し、冒頭の夢の話を皆に聞かせていたA。
何故誰にも気づかれることなく自然とこの場にいるのか…
何故、自分の話題になってしまったのか…
それがイライにはついていけなかったのだ。
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虚無僧(こむそう)(プロフ) - HIROさん» ご感想ありがとうございます!飛される時のイライ君の声が好きです。コメント本当にありがとうございました!やる気パワーが満ちてきます\(^o^)/ (2019年6月23日 3時) (レス) id: bf4e788763 (このIDを非表示/違反報告)
HIRO(プロフ) - すごい好きでした……!美智子さんが怒ってくれてイライくん飛ばすとことか最高です(_.ω.)_:∵グハッ!! (2019年6月22日 20時) (レス) id: 1744d7d8f6 (このIDを非表示/違反報告)
虚無僧(こむそう)(プロフ) - はるさめさん» 御感想ありがとうございます。久々の更新になりましたが、こうしてコメントをいただけると、書いて良かったと報われます( ;∀;)ありがとうございました! (2019年6月11日 15時) (レス) id: bf4e788763 (このIDを非表示/違反報告)
はるさめ(プロフ) - 最高でした...!最初はどうのなるのかと思ったんですがラストのイライくんめちゃめちゃカッコよかったです...。ページを進めるのが楽しみでスラスラと読めました。とても好きです。 (2019年6月11日 1時) (レス) id: 8a587298f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虚無僧(こむそう) | 作成日時:2019年6月11日 1時