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周囲の視線は気にもならず、今日は不測な事態が起きて疲れたのか、小さく欠伸がでた。
お昼寝までしたんだけどなぁ。
そろそろ部屋に戻ろうと椅子から腰を浮かせ、少し前のめりになる体制になった瞬間、力強く腰を引かれた。
「部屋に戻るのか？」
私の腰に手を回す、目の前のナワーブの口には真っ赤に熟れたベリーが咥えられていた。
果汁で潤っている彼のその唇が酷く官能的に感じ、視線が外せない。
「えぇ、先に失礼するわ。
ナワーブ……
私にもベリーちょうだい。」
「…ん。」
ナワーブの口に咥えられていたベリーを彼の唇と吐息も一緒に奪い、わざと大きくリップ音を響かせ席を立った。
…え？
外から聴こえていた雨音がいつの間にか消え、ポツリと誰かが溢した小さな呟きは、静寂した空気の中では大きく聞こえた。
「風呂入ったら、後でお前の部屋に行くから。」
周囲がざわつき始めた。
「じゃあ、寝ないで待ってるわね。」
愛しい人にそう告げ、私は食堂を後にした。
扉を閉め暫くしてから、数名の叫び声がこの館中に響き渡ったのではないだろうか。
明日には根掘り葉掘りと聞かれるだろうが、イタズラが成功した時の様な高揚感で気分が良い。
ぺろりと唇をなぞると口の中に広がる酸味。
この酸味が甘く変わる夜がこれから待っている。
私はこれから狼に捕食される赤ずきんになるのかな？
それとも、狼を捕食する赤ずきんかな？
どちらにせよ、あまり待たせないでね。
私の狼くん。
fin.
終わり
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水沢 - 大好きです最高です読めてよかった……！！ (2021年9月7日 5時) (
レス) id: 1b77a7129b (このIDを非表示/違反報告)
虚無僧(こむそう)(プロフ) - タウリンさん» そう言っていただけると、励みになります( ；∀；)ありがとうございます (2019年4月10日 21時) (レス) id: bf4e788763 (このIDを非表示/違反報告)
タウリン - 好きです…… (2019年4月10日 16時) (レス) id: 605dc12735 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虚無僧(こむそう) | 作成日時：2019年3月15日 1時
