ありがとう... ページ28
「ふ〜ん
それで私にも言えなかったんだ...」
「...うん、ごめんね？」
「Aとは同期だけど
それ以上の繋がりがあると思ってたのは私だけか...」
「そんなことないよ！
あやには話したいと思ってた...」
だけど...
「結局話さなかったんだよね、ごめん...」
「やだ」
そう言うとあやは突然窓際に移動した
「あや...」
...え？
肩が震えてる...
泣いてるの？
私はあやに近寄って肩に手を置いた
「あや...」
「...うっ」
「ごめんね、泣かないで...」
「...プッ」
「え？」
プッ...？
「あ〜おかしい(笑)
Aったら騙されちゃって」
...は？
「私がそんな事で怒って泣くわけないじゃん。
Aにも色々事情があるってわかったんだし」
「あや...」
「それに...プッ(笑)」
「何笑ってるの？」
「Aとシムが結婚してたって聞いて...
思い返すとアイツの行動がおかしくて(笑)
シムの歓迎会の時とか、何で突然あんな事言ったんだろうって思ってたんだけど、あれは宮本さんに教えたかったからなんだね。あんなに必死になっちゃって...」
「・・・・」
「あ〜、おかしい(笑)」
そう言いながら
アイツのおかしな行動を次々あげて笑うあや
そうだった・・・
あやはこういう人だった
「あ〜」
ひとしきり笑ったあやが
急に真面目な顔をしてこっちを向いた
「シムは...ホントにAの事が好きなんだね。
実は今まで、時々ドキッとするくらい愛しそうにAの事を見てるシムを見掛けたんだ」
初めて知った
アイツが会社でも
そんな風に私を見てくれていた事
「...嬉しい」
「だから余計に...
辛かったでしょ？A...」
「え？」
「シムが記憶を失って...
Aの事も忘れちゃったんでしょ？」
あや...
「好きな人が自分の事を忘れちゃう...
辛いのによく頑張ったね」
確かに辛かった
ホントは誰かに、聞いて欲しかった
「...ふっ」
私を見つめる優しいあやの眼差しに
我慢できずに泣き出した私の頭を
「エライ、エライ...(笑)」
あやは何度も優しく撫でてくれた
アイツが記憶を失って誰かの前で泣いたのは
これが初めてだった
ありがとう...
あや
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作者名：ami
| 作成日時：2013年7月19日 13時
