こうしたかったから ページ26
「どうして"そこまで"なの？」
タオルで顔を拭いていると
バンビが顔を覗かせた
ピョンと少しだけ寝癖のついた黒髪は
前髪が重めのマッシュヘアで
昨夜着せたバスローブは
胸元が大胆にはだけ、左肩が半分以上露出している
つまり、その髪型といい格好といい
無駄に色っぽすぎるのだ
振り返った顔を慌てて元に戻した
「ねぇ、A...」
にも拘わらず傍に寄ってくるから
隣から私を見下ろすバンビが鏡に映って
目のやり場に困る
だからその肩！
はだけた胸元直しなさいよ///
「もっとAの傍にいたくて人間になったのに、これじゃあ・・・」
「そうよ、それ！」
「え...」
「バンビはどうやって人間になったの？」
昨夜お弁当を食べながら聞こうと思ってたんだ
「それは」
それは？
「お願いしたんだ」
「誰に？」
「...ヒミツ」
は？ヒミツですって？
「でも僕達の周りには
いっぱい"神様"がいるんだよ？」
へぇ、神様ね...
「悪いけど私、そーゆーの信じないの」
神様なんて、どんなに真剣にお願いしたって
聞いてくれた試しがない
「どうして？今だってAの後ろに・・・」
「ヒャッ...！」
言い終わらない内にバンビの方へ一歩体を寄せた
神様は信じないけど
こーゆー類いの話しは苦手なのだ
...ん？何この手
「A(笑)」
どうして私は バンビの腕の中にいるの？
「...ねぇ、ホントに神様なんているの？」
まさかと思うけど
これが目的で騙した訳じゃないでしょうね
「わからない」
は？わからない？
「でも多分いる。見えなくなっただけ」
つまり...
人間になったから"見えなくなった"って事？
「ねぇ、バンビ
そうまでして何で人間になったの？」
「え...？」
「だから味覚が変わったり、見える物が見えなくなったり、他にも人間になって不便な事はたくさんあるでしょ？」
「うん」
「なのにどうして人間になったの？」
「だからこうしたかったから...(笑)」
ぎゅっ...
バンビが抱き締めていた腕に力を込めた
その瞬間、直に頬に当たるバンビの胸
おまけにそれを
嘘偽りなく鏡が映し出すから
恥ずかしくて堪らない
「は、離して///」
「イヤだ」
ぎゅっ...
身動すら取れなくなった
「は、離してくれなきゃ嫌いになるよ」
「え...」
まさかこんな子供騙しが
通じるわけないと思いつつ
パッ！
意外にもその効果は絶大で
バンビは眉毛を下げると
不安そうに私を見下ろした
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ami(プロフ) - まこさん» まこさん、夏目漱石のエピソード、素敵ですよね。流石偉人は違います。妄想当初はもっとムードある流れで使おうかと思ったのですが、気付いたらこんな感じに(笑)拾って頂けて嬉しかったです！ありがとうございます。引き続きお付き合い下さいね。 (2021年7月14日 17時) (
レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
まこ(プロフ) - amiさん！更新ありがとうございます。まさか。ここで大好きな夏目漱石の訳に会えるなんて泣素敵ー！これからも楽しみにしています。 (2021年7月14日 16時) (レス) id: c043fdfdb9 (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - tamaさん» tamaさん、切なさ感じて頂けて嬉しいです。バンビはどこへ行ってしまったのか。今後の更新で明らかにしていきますね。お話に共感して下さり励みになります。 (2021年7月6日 15時) (レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - 切ない…バンビどこ行っちゃったのかな。 (2021年7月6日 0時) (レス) id: 2b3dad8b2a (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - 千衣さん» 千衣さん、それはもう「人にあらず」でしょうか(笑)悪の経典は観てないですが。←更新楽しみにして下さって励みになります！ありがとうございます。 (2021年7月5日 22時) (レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ami
| 作成日時：2018年1月16日 1時
