甘い朝？ ページ25
バンビを寝かせた私の部屋は
玄関を上がって左手にある、二間続きの奥の和室と襖一枚隔てた場所にあって
ちなみに、玄関上がって右手が居間と台所で
今夜、思いがけずバンビにベッドを取られてしまったので
本来ならバンビを寝かせる予定だった奥の座敷に布団を敷き横になった
布団に入るなり襲ってくる、強烈な眠気
それは裏を返せば
バンビが"この家にいる"という安心感に他ならないからで
ここ二日、ほとんど眠れなかったのが嘘のように、瞬く間に私は深い眠りに落ちた
.
「...ん、A どこ？」
明け方
襖一枚隔てた向こうでバンビが目を覚まし
「A、A......あ、いた(笑)」
私を捜して襖を開けたことなど
気付きもしなかった
.
そして迎えた朝
「・・・・」
枕元にセットしたスマホのアラームが鳴る前に目が覚めたのは
間違いなく後ろから身体を包み込むこの長い腕の存在に気付いたからで
こ、これはもしかして...
いや、もしかしなくてもバンビの腕
寝起きは割りといい方
それでもしばらくこの状況に固まってしまった
「...あ、A 起きた？」
・・・なに？
この恋人達が迎える甘い朝、みたいな状況は
「僕も今起きた...(笑)」
寝起きの、ちょっと鼻に掛かったような
バンビの甘い声
「目が覚めたらAがいないから、びっくりしちゃった」
いやいや、私は一緒に寝るなんて
一言も言っておりませんが
「A達はこうやって寝るんだね。
コレすごくあったかい(笑)」
これは布団と言いますが
通常一人で使います、間違った使用法です
「A、こっち向いて？顔が見たい」
「...ッ///」
だから何なの？
恋人のようなその甘いセリフは
一体どこで覚えて...いや、本能か
「A？」
そんな事を考えている内に
お腹に巻き付いていた腕が頬に伸び
半ば強引に後ろへ向かせようとするから
「ストーップ！！そこまでっ///」
「え...」
慌ててそれを制し
一瞬の隙をついて腕の中から抜け出した
「A...？」
恋人じゃあるまいし
寝起きの顔なんて見せられない
ましてこんなむくんだ顔なら尚更
駆け込んだ脱衣場の鏡を見て、直ぐ様顔を洗った
思えば、この時既にバンビを"男性"として意識していたわけだけど
人間とは本当に面倒くさい生き物で
バンビが鹿だという事実が絶えず脳裏をチラついて
またしても素直に自分の想いを認める事が
できなかった
.
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ami(プロフ) - まこさん» まこさん、夏目漱石のエピソード、素敵ですよね。流石偉人は違います。妄想当初はもっとムードある流れで使おうかと思ったのですが、気付いたらこんな感じに(笑)拾って頂けて嬉しかったです！ありがとうございます。引き続きお付き合い下さいね。 (2021年7月14日 17時) (
レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
まこ(プロフ) - amiさん！更新ありがとうございます。まさか。ここで大好きな夏目漱石の訳に会えるなんて泣素敵ー！これからも楽しみにしています。 (2021年7月14日 16時) (レス) id: c043fdfdb9 (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - tamaさん» tamaさん、切なさ感じて頂けて嬉しいです。バンビはどこへ行ってしまったのか。今後の更新で明らかにしていきますね。お話に共感して下さり励みになります。 (2021年7月6日 15時) (レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - 切ない…バンビどこ行っちゃったのかな。 (2021年7月6日 0時) (レス) id: 2b3dad8b2a (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - 千衣さん» 千衣さん、それはもう「人にあらず」でしょうか(笑)悪の経典は観てないですが。←更新楽しみにして下さって励みになります！ありがとうございます。 (2021年7月5日 22時) (レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ami
| 作成日時：2018年1月16日 1時
