美味いメシでも1(番外編) ページ33
「なぁ、お前コレわざとだろ」
ドサッ...！
後輩モデルのチャンミンから
電話が来たその日の夜
俺はアキの自宅マンションを訪ねた
チャンミンと違って
俺には既に、ファンも公認の彼女がいるから
こうやってコイツの家に
どんだけ出入りしようが騒がれる事はない
だから考えてみれば
あの日も俺がアキを送ってやればよかったんだ
まぁ、元々そんな必要があったかどうかも
今となっては疑問だけど(ザルだから)
「・・・・」
日課のストレッチをやっていたのか
リビングの床に俺が無造作に投げた週刊誌に
アキは上体をやや床にくっつけた体勢で
チラッと目をやると
「...やぁね、わざとな訳ないでしょ」
すぐに視線を逸らし
開脚した白く長い足の間に完全に頭を埋めた
「嘘つけ。あの時お前、男と別れたばっかだったろ」
長年の付き合いで
アキの悪いクセは知っていた
それについて、かつて一度だけ
やめておけと言った事もあったが
まぁ、本人も自覚してやってるみたいだし
それで痛い目をみるのはアキ自身だから
口うるさく咎める事はしなかった
でも今回は別だ
相手は可愛がっていた後輩だし
何よりそれが原因で
彼女、Aちゃんと揉めてる様子だったから
「いい加減
自分の価値を下げるようなマネはやめろよ」
「・・・・」
「アイツだって...
可哀想に、彼女と揉めてるみたいだぜ？」
「・・・・」
聞いてんだか聞いてないんだか
顔を埋めたまま
うんともすんとも言わないアキ
「全くそれさえなければ
ホントいい女なのにな...はぁ」
堪らず溢れたため息に頭を掻きながら
すぐ後ろにあったソファに腰を沈めた
「...だって、ムカつくのよ」
その直後
体を起こしたアキが、ボソッと呟いた
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作者名：ami
| 作成日時：2016年3月21日 17時
