心があったかくなる音 ページ20
「その格好...」
アイツが私の目の前に来た
この格好...？
「はぁ...もう、想像以上だぁ」
「え...」
想像以上...？
感嘆のため息をつき
まるで大好物の食べ物でも見るみたいに
キラキラした瞳で私を見つめるアイツ
まさかこのまま
食べられちゃうなんて事ないよね...
そんなバカな事を考えながら
少しだけドキドキしていると
「...え」
アイツが突然私の左手を掴んだ
「回って？」
「えっ...」
回る？
考えているうちに
「ちょっ...えっ！？」
アイツがクルッと私を一回転させた
「ふふっ、可愛い(笑)」
・・・ナニ、コレ
「もう一回(笑)」
クルッ...
「ふふっ、やっぱり可愛い(笑)」
だから、なんなの？コレは・・・
「あの、チャンミン...？」
なぜ私はこんな格好で
舞踏会のお姫様みたいに(図々しいヤツ)
一人クルクル回されちゃってるわけ？
「はぁ...
どっから見ても可愛い」
・・・って、だからクルクル回したの？
眉間に皺を寄せ、明らかに
不信感たっぷりな視線を投げ掛けているのに
「何でこんなに袖が余ってるの？
丈だってこんなに長いし...ふふっ、ブカブカだぁ(笑)」
キラッキラな瞳で
私の様子を確認するアイツには全く届かず
それどころか
「あーもうっ！
可愛い可愛い、可愛いーっ！！」
そう言ったアイツに
ぎゅうっっ...！
痛いくらいきつく
抱き締められてしまった
く、苦しい...
アイツの胸元にぎゅっと顔を押し付けられ
全く身動きが取れない
「あの、チャンミン？
せめてもう少し力を・・・」
「はぁ...ホントに
もうこのままずうっとここに閉じ込めておきたい」
ぎゅうっ...
・・・あ
アイツが更にきつく抱き締めてくるから
苦しくて仕方ないのに
アイツの胸に押し当てられた耳に聞こえてきたのは
心があったかくなる音
ドキドキドキドキ...
少し速いアイツの心音
私にドキドキしている
アイツの心音
チャンミン...
「はぁ...A」
ぎゅうっ...
男のロマンなんて
やっぱりよくわからないけど
私もずっとこうしていたいよ...
なんとか伸ばした両手で
アイツの背中をそっと抱き締めた
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作者名：ami
| 作成日時：2015年6月27日 10時
