だから泣いてたの？ ページ8
「え、付き合ってないよ？」
講義を終えた教室
帰りの支度をしながら答える
「でもさっきも、一緒に夕飯食べに行くとかなんとか言ってなかった？」
「言ってたけど...南川さんは友達だよ？」
そう、例えどんなに親しく見えても
南川さんは友達
僕が好きなのはAさんだけ
「だよなー。
やっぱ南川はないよなー(笑)」
ムッ...
何その言い方
まるで南川さんをバカにするような
その口ぶりに頭に来て
「何でそんな事言うの！」
思わず口調がキツくなった
そんな僕の様子に
一瞬キョトンと驚いた表情を浮かべた杉本は
「は？お前知らないの？」
今度は眉間にシワを寄せてそう言った
知らない？
「何を？」
「南川が宮部と不倫してるの」
えっ...不倫？
しかも
「宮部って...あの宮部教授？」
「ああ」
「・・・・」
宮部教授は40代の国文の教授で
分かりやすい講義をするから
僕のお気に入りの教授の一人だった
「けっこう有名な話だぜ。
宮部の部屋でイチャついてるの見たっていうヤツもいるし」
...じゃあ
この間のキスマークは、教授がつけたって事？
だから泣いてたの？
不倫の関係だから...
「・・・・」
「人は見かけによらないよな。
南川もそうだけど、あの大人しそうな宮部が不倫とはね」
なんだろう...
胸がモヤモヤする
「・・・・」
「放課後部屋でイチャついてるらしいから、もしかして今も...」
今も...？
ニヤニヤと笑う杉本の言葉に教室を確認すると
南川さんの姿がなかった
南川さん...
「・・・・」
「あっ！おいチャンミン！
どこ行くんだよ！」
そう叫ぶ杉本の声を聞きながら
僕は教室を飛び出した
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作者名：ami
| 作成日時：2015年3月28日 22時
