ギャッ！！ ページ22
「この辺でいっか...」
アイツに送る写真を
極力ヤキモチを焼かれないよう
なるべく殺風景な場所を探して
テキトーに撮っていると
「お待たせ」
斉藤さんが戻ってきた
「いい写真撮れた？(笑)」
「あ...はい」
仕事の為の写真だと思い込んでる斉藤さんに
チクチクと良心が痛む
ごめんなさい、斉藤さん
「じゃあ、行こっか」
「はい」
先程同様、助手席に乗り込んだ
「ここから一番近いのは遊覧船だけどどうする？乗ってみる？」
遊覧船？そんな面白そうなもの
「乗る、乗りたいです！」
「フッ...了解(笑)」
車が遊覧船乗り場を目指して動き出したところで
・・・ハッ！
私はある事に気が付いた
アイツに今後の行動を
逐一写真付で報告しろと言われていた事を
・・・ヤバイ
遊覧船なんかに乗って大丈夫だろうか
でも今さら乗りたくないなんて
我が儘言えないし...
仕方ない、もう今日は色々覚悟を決めよう
幸い、アイツはすぐに会える距離にいないんだし(ひどいヤツ)
とりあえずさっきの写真を送るか
私はピコピコとケータイを打ち始めた
えっと、どれがいいかな...
さっき撮った写真を眺める
あ、これは間違っても送っちゃダメだ
「恋人の聖地」なんてハッキリ写っちゃってるし
こんな斉藤さんとのツーショット写真を
見せた日にゃ
アイツはきっと発狂しちゃう
そんな事を考えながらケータイを弄っていたら
「危なっ！！」
「えっ...」
キキィーッ！！
突然車が音を立てて急停車した
「竹内、大丈夫かっ？」
すかさず斉藤さんが私の顔を横から覗き込んだ
「はい...」
ちょっとびっくりしたけど
「大丈夫です」
「ふぅ...悪かったね。
横から急に車が飛び出してきて」
どうやら一旦停止を無視した車が
左から飛び出してきたらしい
「いえ、ぶつからなくてよかったですね」
「ああ」
再び車が走り出した
ふぅ...ヤレヤレ
まったく前の車め
あなたみたいな人がいるから
事故はなくならないんだよ
呆れたように首を軽く横に振り
手にしていたケータイを確認して
...ん？
「・・・ギャッ！！」
思わず叫んでしまった
なぜって
さっき急停車した弾みで押してしまったのか
絶対に送ってはいけない写真が
まんまと「送信済み」になっていたから
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作者名：ami
| 作成日時：2015年3月28日 22時
