二人の蒼い部屋1 ページ6
「はぁはぁ...ちょっとチャンミン！
歩くの早すぎ...！」
味わうこともないまま終わった夕食のあと
連れ去られるようにアイツに手を引かれ
到着したアイツのマンション
「はぁはぁ...ホントにもうっ！
もうちょっとゆっくり歩いてよ」
「ごめんなさい...」
乗り込んだエレベータで私に責められ
眉毛を下げ、シュンとなるアイツ
捨てられた仔犬のようなその顔に
当然のようにキュンとしてしまう私は
アイツにかなりやられてる(そうだね〜ってなんかバカにしてない？)
.
エレベーターが最上階につき
ガチャガチャッ！
素早く玄関の鍵を開けたアイツは
「Aさん...」
すぐに私に腕を伸ばしてきた
玄関で靴も脱がずに
ぎゅうっと私をその腕に抱き竦め
「Aさん、ねぇ...」
「なに？」
私の首筋に顔を埋めて小さな声で囁いた
「今すぐ...Aさんが欲しい」
甘えるようなアイツの声に
キュッと胸が高鳴る
これから始まる事を想像して
恥ずかしくなった私は
「ダメですか...？」
「...いいよ」
アイツのお得意技に小さく返事をし
そっとアイツの背中に腕を回した
パタン...
アイツの部屋の扉を静かに閉めると
始まる二人だけの時間
久しぶりの幸せな時間
月明かりに照らされた
二人だけの蒼い部屋
たった今閉めた扉の前で
「Aさん...」
私の頬をなぞるように触れるアイツの手に
一気に心臓が鼓動を速める
さっき「Casa」で子供のように
ピザを頬張っていたアイツは
もうどこにもいない
目の前にいるのは
熱っぽい瞳で私を見下ろす
男のアイツ
チャンミン...
何度も何度も
アイツの手が私の頬を撫でた
ドキドキする
するともう一方の手を伸ばし
スーツのボタンに手を掛けると
「この格好、可愛いけど...」
可愛いけど？
「ドキドキする...」
顔を寄せ耳元で囁いた
私を誘うアイツの低い声に
もう、立っているのがやっと
そんな私のボタンを
アイツは啄むようにキスをしながら
ゆっくり...
外していった
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作者名：ami
| 作成日時：2014年2月1日 23時
