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しわくちゃ ページ38
「え、タオル？ちょっと待ってて」
ドクン...ドクン...
昨日と同じように
心臓がイヤな音を立てる中
「Aさん、ちょっとすみません...」
そう言ったアイツが
ガサゴソとタオルを取りに行く音と
「ありがとう、シム君(笑)」
明るく弾む女の子の声が聞こえてきた
ドクン...ドクン...
気付いたら胸元を
ギュッと握り締めていた
アイツがくれた、愛しい紅い華...
「すみませんAさん、お待たせしました」
「チャンミン、誰か来てるの...？」
「そうなんです。
大学の同じクラスの人が何人か」
「そうなんだ...」
今のは、一之瀬さん？
「...たくさん友達できてよかったね(笑)」
「はい！(笑)」
友達ができて喜ぶアイツに
そんな嫉妬じみた事、聞けない
ギュッ...
アイツがくれた
紅い華
「あんまり話してるのも悪いし、もう切るね？」
「わかりました」
今日は「イヤだ」って言わないんだ
「じゃあ、またね」
「あっ！」
「なに？」
「Aさん、大好き...」
「うん...」
「大好きですよ？」
アイツの言葉に
素直に「私も」と返せなくて
「うん...じゃあね」
それだけ言って電話を切った
「チャンミン...」
お気に入りの服の胸元が
しわくちゃになっていた
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作者名：ami
| 作成日時：2014年2月1日 23時
