写真5 ページ8
柔らかな日差しが降り注ぐ芝生の上で
お弁当を広げた
満腹になった結愛は
スヤスヤとベビーカーの上で寝息を立て始め
同じく満腹になったアイツは
もう少し写真を撮りに行ってくると
どこかに行ってしまった
はぁ〜、ホントいい天気
結愛じゃないけど
こんなにあったかいと眠たくなるよね
目を瞑って
気持ちのいい春の陽気を感じていると
「ふぅ〜たくさん撮れました」
写真を撮りに行っていたアイツが戻って来た
「おかえり、チャンミン」
満足顔で私の隣に腰を下ろしたアイツ
撮り終えた写真を確認し始めた
「随分たくさん撮ったんだね」
「うん」
するとある一枚でアイツの手が
ピタ！と止まった
気になって覗き込む
するとそこに映し出されていたのは
私と結愛の写真
結愛を見ながら
笑顔でゾウの親子を指差す私と
ベビーカーに乗ってその指差す先を見ている結愛
「チャンミン
いつの間にこんなの撮ったの？」
アイツは何も言わず
そっと撫でるようにその写真に触れた
見上げると
愛しそうに目を細めているアイツの横顔
チャンミン...
「このカメラみたいに
僕の目に映ったAさんの色んな瞬間を切り取る事が出来たらいいのに...」
「え...」
「だって...
僕の目に映るAさんが一番綺麗だから」
そう言ってアイツはふんわり微笑んだ
その横顔に堪らなく胸が締め付けられる
「...チャンミン！」
私は横から思いっきりアイツを抱き締めた
「え...？Aさん？？」
そんな私を、戸惑いながらも
優しく包んでくれるアイツ
チャンミン
あなたがどうしようもなく愛しい
「A...」
囁くように私を呼ぶ声
ゆっくり顔を上げた視線の先には
これ以上ない程優しい眼差しで私を見つめる
アイツがいた
ホントだね、チャンミン
今この瞬間を、永遠に忘れないように
切り取る事が出来たらいいのに
瞬きすらも勿体なくて
じっとアイツを見つめる私の唇に
「大好き...」
アイツの唇がそっと重なった
数日後、リビングのチェストの上に
1枚の写真が新たに加わった
「ねぇチャンミン、この写真...」
「いい写真でしょ？ね、結愛(笑)」
私の腕の中にいる結愛に
アイツがにっこり微笑んだ
私がそう言った
それはあんなにたくさん写真を撮っていたのに
飾られた写真は
知らないおじさんに１枚だけ撮って貰った
お世辞にも上手いとは言えない
家族写真だったから
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作者名：ami
| 作成日時：2013年11月15日 8時
