偶然か必然か【相澤消太】 (ページ50)

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＊相澤Side13 ページ50

「あっれ〜奇遇じゃん相澤く～ん！誰かの見舞いか〜？当ててやろうか？」

ニヤっと笑いながらそういう金髪男。
とってもめんどくさい奴に会ってしまった。

「誰でもいいだろ。」

シヴィー！！と指を指しながら後を着いてくる。

「着いてくるな。お前も早くあいつんとこ行けよ。」

「ん？あぁ。そ～だな～。」

と少し眉を下げて、ヘラヘラとしながら違う方向に進んで行った。

山田には、恋人が居る。
呑むのが好きな山田が行きつけのお店で一目惚れをして、不器用ながらも真っ直ぐに気持ちを伝えて付き合ったらしい。
幸せそうだった。
でも半年前に、彼女の病気が発覚した。
"若年性アルツハイマー"
初めは病院に月に1度顔を出す程度で良かったらしい。
でも最近では一人暮らしをさせるのが不安になってきたらしく、入院することになったらしい。
ヒーローであり、教師でもある山田と暮らすのは、一人暮らしとほぼ変わらない。
だから山田はほぼ毎日、少しの時間でも時間が出来るとこうして病院に顔を出しているらしい。

人の心配してる場合かよ。
山田の背中に問いかける。

いつものようにコーヒーを買ってあいつの元へ向かう。

病室につき、扉を開けると、そこには寝ているあいつではなく、ベッドに座るあいつがいて、思わず目を開く。

目が、覚めたのか。良かった。
でもそれは、同時にこいつと距離をとる日が来たことになる。

扉が開いたにも関わらず、こちらに気がついていない。
下を向いて、自分の手を握りしめている。
扉にもたれかかったまま、意識をこちらに向けさせる為にドアを叩いた。

ハッとしてこちらを見た。
すると一瞬嬉しそうな顔をしたが、直ぐに暗い顔に戻った。
少しずつゆっくり、あいつは事件に対する謝罪の言葉を泣きながら吐いた。

初めて見た。こいつが泣いている所を。
大丈夫だ。そう言い聞かせるように、背中をさすってやる。
でも、俺にはこれ以上の事はしてやれない。

しばらくすると、落ち着いたようなので飲めるはずもないコーヒーを勧めてみると、飲む！と言い出し手に取った。
面白くて見ているとやっぱり飲めず、紅茶にしろ、と文句を言われた。

コーヒーと引き換えに紅茶を渡して話を始める。
事件のこと、知らせるべきことが沢山あった。
話をしようと前を見ると、顔を赤くしてコーヒーを見つめていた。
あぁ。ビールの時もそうだったな。ほんと、分かりやすい。
飲むのを止めようか、と言うと大丈夫だと言うので、事件についての話を始めた。