目覚め ページ42
「うっ、、、。まぶし、、、」
目を覚ますと、病院にいた。
エリちゃんは！作戦は！！！
急いでベッドから出ようとすると、足に激しい痛みが走り、撃たれた記憶が蘇る。
ハッとしてお腹を見ようと入院服をめくる。
蚊に刺された様な赤い点がひとつ。
あぁ、夢じゃなかったのか。
個性を使おうとしても使えない事で、余計に現実を突きつけられる。
あそこに飛び出したことに対して、個性が使えなくなったことに対して、後悔は無い。
でも後輩を守りきれなかったことは後悔しか残っていない。
手のひらに、爪が食い込む程に強く握りしめてしまっていた。
しかしそれは、コンコン、というノックの音によって緩められる。
「はい。」
と扉の方に顔を向けると、扉にもたれかかった相澤さんが立っていた。
「意識、戻ったんだな。気分はどうだ。」
「あ〜、全然、大丈夫です。でもルミリオン、きっと個性、、ごめんなさい。守れなくって。。飛び出して行ったくせに、ごめんなさい。」
実際に声に出すと、悔しさ、情けなさ、治崎への憎しみ、色んな感情が入り交じり、涙が溢れた。
「ごめ、な、さ、、わた、、」
嗚咽まじりに喋る私に、相澤さんは何も言わず、ただ背中をぽん、ぽんと叩いて宥めてくれた。
その手は凄く暖かくて、ただただ暖かくて、余計に涙があふれた。
「落ち着いたか。ほら、飲むか？」
缶コーヒーを私の目の前に置く。
「紅茶が良かった。コーヒー飲めない。」
ズピ。と鼻水を啜りながら文句を言う。
「そーかよ。じゃあ飲むな。」
そういって、コーヒーを手に取る。
「飲みますから！！」
コーヒーを開けようとする相澤さんからコーヒーを奪い取る。
「飲めないんだろ？」
という相澤さんの声を無視して勢いよくコーヒーを飲む。
にっが！ブラックじゃん。
「ふっ相変わらずだな。お前。ほらこっちよこせ。買ってきてやるから。」
そう言って私から、コーヒーを受け取ると何も言わずに部屋から出ていった。
紅茶買いに行ってくれたの、、かな？
久しぶりに話したなぁ。エリちゃんの件では仕事！って割り切って敢えてあんま話さないようにしてたし。
そんな事を考えていると、ガラガラと扉を開けて相澤さんが紅茶を持って帰ってきた。
「ほら。」
紅茶を私の前に置く。ちゃんとお砂糖入りのを買ってきてくれている。
こういうとこなんだよなぁ。
「ありがとう、ございます。」
ああ。と言うと私から奪い返したコーヒーに口をつける。
あ、また、間接キ、、
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作者名：ponchan | 作成日時：2023年4月26日 22時
