偶然か必然か【相澤消太】 (ページ38)

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＊相澤過去編ページ38

｢お前、昔からヒーローだったんだな。｣

俺の話を聞いた山田は、さっきまでとは違った優しい顔でそう微笑んだ。

｢今の話を聞いてどこがヒーローなんだよ。大切だった両親も、友達も、好きなやつさえ守ってやれなかった。死なせた俺なんて疫病神でしかない。頼むから、お前も俺ともう関わらないで｢だってよ、お前、守ろうとしたんだろ？皆が逃げる中、小3だったお前だけが女の子を助けようと戦ったんだろ？そんな優しくて勇敢だったお前を、ヒーローだったお前を、お前の親御さんが誇りに思わないわけねーだろ。お前がその子のヒーローしてたように、お前の親御さんや白雲、凛だって、お前や誰かのヒーローだったんだよ。お前が自分を責めちまう気持ち、分からんでもないさ。目の前で、大切な人が死んだんだ。でも、自分の行動を、アイツらや親御さんの行動まで否定すんなよ。それに、俺まだ生きてっし。お前が疫病神って自分の事思いたいなら、俺が死んでから勝手に思え。今の段階でそんな事思われちゃ、俺お前にとってなんなの？そこら辺の学生Aか？｣

いつもはキリッとしている眉毛を下げてヘラッと笑った。

｢俺も大事な親友2人失ってんだ。悔しいし、自分が情けねぇよ。だからそれ背負って、ヒーローになるんだよ。そんなに俺に死んで欲しくないなら、お前が俺を守れよ。｣

ニヤリと悪戯っぽく笑う山田。

｢はぁ。どーなっても知らねぇからな。｣

震える声で、顔を右手で覆って、今にも溢れそうな涙を見せないようにしてそう答えた。

｢泣いてんなァ？相澤く～ん！｣

と指を差してくる山田に、体をぶつけて反撃すると、シヴィ～！！といつのまにか、いつもの調子に戻っていた。