偶然か必然か【相澤消太】 (ページ37)

今日:20 hit、昨日:32 hit、合計:65,884 hit

＊相澤過去編ページ37

山田は俺の想いを無視して毎日俺に話しかけてきた。

もう、嫌だった。
両親や祖母が死んだ時、もう作らないと決めたはずなのに
アイツらといる事が楽しくて、心地よくて、自分の力をまた、過信して俺は自分の欲を優先してしまった。

なんで凛なんだよ。なんで白雲なんだよ。
なんで俺じゃないんだよ。

まだ何もしてやれてない。気持ちも伝えれてない。
入学式の日、俺の事を友達と言ってくれたあいつに、お礼も言えてない。

誰にも何も返せてない。

このままだと山田まで失ってしまうかもしれない。
もう嫌なんだよ。
俺を、殺してくれよ。

何度も思った。何度も学校を辞めて、遠くに行こうと考えていた。

でも、毎回いつもの調子で明るく山田がメシや家に無理やり引きずられて尽く失敗した。
きっと全部見透かされてたんだろうな。
ふざけてるようで、デリカシーの欠片もないようで、1番人に気を使っていたのは山田だったから。

だから俺の事も、怒るとか、優しくする、とかでもなくいつも通りに接してるんだろうな。
お前も辛いはずなのに。

俺はしばらく、生きる屍そのものだった。
ただ、淡々と言われたことだけをこなすだけ。
怒りも、笑いもしない。

ある日、山田は家で俺に言った。

｢お前さ、いつまでそうしてんだ？そうしてたらアイツら戻ってくるとでも思ってんのか？喜ぶとでも思ってんのか？｣

真剣で、刺すような、悲しい声で言った。

｢思わねぇよ。でも、あいつらが死んだのは俺のせいなんだよ。俺が、、あいつらと、お前と、一緒にいたいって思ったから。俺が死んでたら｣

そういった瞬間、頬に痛みが走る。
山田を見ると、今までにないほど怒っていた。

｢お前、いい加減にしろよ？なんでお前のせいになるんだよ。お前、もし逆の立場だったら、白雲を助けてお前が死んでたら、市民を助けてお前が死んでたら、お前は白雲やその市民のせいでお前が死んだって思うのか？！？｣

｢お前らには言ってなかったよな。俺の親の話。｣

怒る山田に、俺は両親の事件の話をした。
俺が飛び出した事で親が死んだこと。
その後、祖母も死んだこと。

今まで俺が心から大切に思った人は全員死んでしまったこと。

それからは大切な人を作らないようにしていたこと。

お前達に出会って、俺が守れば良いと考えを変えることが出来たこと。

でも、結局また守れなかった。守らせて、殺してしまった。

理由や経緯よりも、俺は自分という存在をもう許すことは出来なくなったこと。